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「俳優・小日向文世の切り札は、うーん、……笑顔かな」

―― 小日向さんが演じるロックハートは作品にスパイスを加えるキーマンですが、この役にどのような思いを抱いていらっしゃいますか?

この『海をゆく者』の台本をいただいた時に、ロックハートを演じたいと思ったんです。リチャードは台詞が多すぎて嫌だしね(笑)。こういうストレートプレイにファンタジーが同居しているかのごとく、ロックハートのような存在が出てくるなんて普通はありえないし、面白いですよね。だから僕はロックハートが大好きです。ほかのメンバーも決して幸せとは思えないような人生を送っていて、クリスマスイブに大好きな酒を飲んで、ベロベロになって朝を迎えて……。でもものすごく皆が人間臭くて、それぞれのドラマがある。そのなかで、ロックハートをまた演じられるのはとても幸せです。

―― 飲んだくれのダメ男たちの可愛さ、愛おしさについてもう少しお聞かせください。

女性がいたら皆、格好つけたいと思うんですが、この舞台には男しかいませんからね、皆が無邪気にみっともない部分をさらけ出すんです。リチャードのトイレのシーンなんてまあ無邪気ですよ。あまり明日のことを考えずワイワイしている感じがとっても良くて、腹の中で思っていることが明け透けに見えてくる感じが見ていて楽しいと思います。
僕もお酒は飲みます。特にスコッチが好きですね。でも、今は健康のために1日飲んだら2日は休肝日にするようにしています。

―― 今年は翻訳作品へのご出演が続いています。翻訳ものの面白さ、難しさをどう感じていらっしゃいますか?

今年は『アンナ・カレーニナ』『ART』に出演しました。日本人の感覚にない台詞も多いんですが、お客様はそれをとても面白がってくださるんですよね。その様子を見て、どの作品にもストーリーの力強さを感じています。帝政ロシアの時代に飛んだり(『アンナ・カレーニナ』)、真っ白い絵が大好きだなんて言ったり(『ART』)、翻訳ものには非日常的なものを演じる面白さがあるなと思っています。ただやはり台詞が多いので、公演中は休演日でさえもリラックスできないんです。僕、長生きしたいからあまり翻訳ものが続くのはよくないかな(笑)。
でも『海をゆく者』は先ほども言ったようにファンタジーの要素があるので、また少し違うんですよね。翻訳ものの面白さともに、演じる楽しさを実感できる作品です。

―― 『海をゆく者』では男たちがポーカーに興じますが、ズバリ、俳優・小日向文世の切り札はなんですか?

なんだろうな。むしろ聞きたいくらいだな。うーん、……笑顔かな。歳を取ってから笑っているほうが若く見えるなと感じることが多いです。朝起きて自分の顔を見てびっくりするんだけど、それでクッと笑うと顔が明るくなるんですよね。実は劇団時代から怒るシーンでも「なんで小日向は無意味に笑ってるんだ!」って言われていました。「いいえ、笑ってないです」って言うんですけど、基本的には僕、笑い顔なんですね。コレ、切り札って言えるのかな?

―― 最期に上演に向けた意気込みとメッセージをお願いします。

70歳の役者がこれだけ揃うことはなかなかありません。自分自身も古希を前にして、人生ってなんだろうなとこの作品を通じて考えています。役者の生き様が透けて見えてくる作品になると思いますので、どの年代の方も観ておいて損はないですよ。

PARCO劇場開場50周年記念シリーズ
『海をゆく者』

東京公演/2023年12月7日(木)~12月27日(水) PARCO劇場
新潟公演/2024年1月7日(日) りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館・劇場
愛知公演/2024年1月12日(金)~1月14日(日) 穂の国とよはし芸術劇場PLAT 主ホール
岡山公演/2024年1月17日(水) 岡山芸術創造劇場ハレノワ中劇場
福岡公演/2024年1月20日(土)~1月21日(日) キャナルシティ劇場
広島公演/2024年1月24日(水) JMSアステールプラザ 大ホール
大阪公演/2024年1月27日(土)~1月29日(月) サンケイホールブリーゼ

https://youtu.be/88qKIn9dcKY

 

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