「日本の演劇で初めて使われるような装置も。絶対後悔させません!」
(取材・文・インタビュー写真/小野寺亜紀)
――今回「日本テレビ開局70年記念舞台」として、令和版の『西遊記』が誕生するということですが、主役の孫悟空を演じられるお気持ちからお聞かせください。
コロナ禍でスケジュールなど紆余曲折があったのですが、このように豪華なキャストの方たちが集まり、上演までたどり着けたことがとても嬉しいです。日本テレビさんの70年、明治座さんの150周年というのが合わさった舞台だなというのをひしひしと感じているので、しっかり勤めねばと思います。
――1978年に制作されたドラマの「西遊記」はご覧になっていましたか?
私の実家は「NHK以外のテレビ番組は見ちゃだめ」と厳しかったのですが、なぜか「西遊記」は家族で見ていました。それはどうしてなのか……実家の両親はすでに亡くなってしまったので理由を聞くことはできませんが、舞台の出演を知ったら喜んでくれていただろうなと思います。
当時は小学生だったので、「きん斗雲があれば学校までひとっ飛びだ」とか、歌舞伎にも出させていただいていたので、「あれが手に入れば大阪から南座まですぐに行けるのにな」とか思っていました(笑)。ちょうど最近、ドラマのDVDコレクションの販売があって全巻買ったのですが、見返すととても懐かしい! 昔は結構怖がりながら見ていたことも思い出しました。やはり孫悟空と言えば堺正章さん。やんちゃで明るく一本気、というイメージですよね。それに(三蔵法師役の)夏目雅子さんが美しい。皆さん出来上がっていて、クオリティが高いなと思いました。
――堺正章さんの孫悟空から受け継ぎたいところはありますか?
勢いとノリですね。軽いノリで演じていらっしゃってとても面白いですし、嫌味がないなかに正義がある、みたいなところが素敵です。まだ脚本の決定稿が出来上がっていないので全容が分かりませんが、あくまでマキノさんが書かれて、堤さんが演出されるこの『西遊記』の世界観の中で、お客様に楽しんでいただければいいなと思います。数々の面白い作品を生み出されている、とても期待値の高いお二人なので、今から稽古が楽しみでなりません。
――やはりフライングなどがあるのでしょうか?
めちゃくちゃあります。恐らく私だけではないですね。それに仮の台本の中ですが、私歌っていました(笑)。今回のキャストの方は歌える方も多いので、歌って踊って立ち回りをして、と盛りだくさんになりそうです。
――現時点で本作のドラマとしての面白さは、どのようなところに感じていますか?
やはり皆さんが見覚えのあるシーンは大事に作られていて、悟空がどのように誕生したか、というところから盛り込まれていますし、それぞれのキャラクターの個性が非常に際立っています。
――三蔵法師は小池徹平さん、猪八戒は戸次重幸さん、沙悟浄は加藤和樹さん、玉竜は村井良大さん、妖怪の首領・牛魔王は松平 健さん、その妻・鉄扇公主は中山美穂さんなど、豪華なキャスティングとなっています。
初めて共演する方が多いのですが、戸次くんは昨年の舞台『奇人たちの晩餐会』でご一緒し、真面目で非常にユニークな方で安心感があります。松平さんの牛魔王は、仮の姿のほうも楽しみですね。すごく格好いい方ですが、今年辰巳ゆうとくんたちとの舞台でコミカルなところも拝見し、ますます共演が楽しみになりました。
――テレビとは違う、舞台だからこそ楽しんでもらいたい部分などありますか?
LEDがかなりパワーアップし、堤さんの今までの演出の中でも際立って進化したものになると思います。また、日本の演劇で使われるのは初めてなのではという装置をいくつかお聞きしたので、お客様に肌で生のライブを感じ、“参加”していただけるものになるはず。涙あり笑いあり、激しい立ち回りに歌や踊りもありと、エンターテインメントの塊のような舞台で、絶対後悔させません! 私の地元、大阪からスタートというのも嬉しいですし、迫力満点の観たことがない舞台をお見せできればと思います。
日本テレビ開局70年記念舞台
『西遊記』
大阪公演/2023年11月3日(金・祝)~11月5日(日) オリックス劇場
福岡公演/2023年11月10日(金)~11月23日(木・祝) 博多座
名古屋公演/2023年12月27日(水)~2024年1月2日(火) 御園座
東京公演/2024年1月6日(土)~1月28日(日) 明治座
演出:堤幸彦
脚本:マキノノゾミ
出演:片岡愛之助 小池徹平 戸次重幸 加藤和樹 村井良大 藤岡真威人 中山美穂 松平 健 ほか