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Stage INTERVIEW

北翔海莉、芸能生活25周年を祝う『THE 北翔まつり』を上演

 1998年に宝塚歌劇団で初舞台を踏み、2023年は芸能生活25周年を迎える北翔海莉さん。9月14日より『THE 北翔まつり』のタイトルで、アニバーサリー公演を行います。第一部はお芝居『先づ健康』、第二部はショー『THE 北翔まつり』で構成され、25年の軌跡をお伺いすればするほど「“北翔海莉”らしい」と納得させられる二本立ての公演です。  (撮影/増田慶、文/小柳照久)

「親に感謝し、その気持ちをおウチに持ち帰っていただくような舞台ができたら」

――25周年おめでとうございます。今回の公演の内容と上演にいたるまでの経緯を教えてください。

25周年ということで、私がひたすらカッコよく美しく登場する、キラキラした夢のような豪華なショーも考えていたんですけど、自分の過去25年を振り返ったら和物作品が多かったんです。宝塚在団中も卒業後も和物に挑戦させていただく機会が大変多かったので、25年の感謝のつもりで、主演作品だけでなく思い出の名曲も集めた和物のショーを作ろうと思ったのがきっかけです。でも、ショーだけだったら物足りないかなと自分でも思いまして、それだったらお芝居もやろうということになりました。

――第一部のお芝居の演目はどのように決められたんでしょうか?

宝塚に在団中、松竹新喜劇の藤山寛美さんのDVDばかり観ていたということもありまして、お芝居は松竹新喜劇の作品から選びました。2013年の『オーシャンズ11』の中でジョンソン先生というおじいさんの役をやる機会があったんですが、その役作りの参考したのが、まさに今回上演する『先づ健康』で藤山寛美さんが演じていたおじいさんなんです。「ああ、こうやって演じればいいんだ」と、その当時は参考にするためにサラっと見ていただけだったんですが、自分が結婚して子育てをする中で、「自分もこうやって両親に育ててもらったんだなぁ」と、改めて内容に思いを馳せるようになりました。「親孝行って何だろう」と考えるようになっていた時に、親孝行を題材にした作品を通してみんなで一緒に親に感謝し、その気持ちをおウチに持ち帰っていただくような舞台ができたらいいんじゃないかと思って企画しました。身近によくある話でみんなが共感できる、そして気楽な気持ちで観ていただきたいお芝居です。

――出演者のお名前に、配偶者でもある藤山扇治郎さん、そして御子息・美治君のお名前もありました。お二人はどのような経緯で今回の公演に参加することになったのですか?

企画と同時進行で家族の出演についても相談していました。扇治郎さんに関しては、2018年の『蘭~緒方洪庵浪華の事件帳~』という作品で共演したのが出会いなんですけど、役者として「また共演したいな」と思っていたんです。とはいえ、夫婦になるとなかなか共演する機会はなくて、でも、共演したいという願いがあったので、自分の25周年のお祭りの公演ならいい機会じゃないかと思って。

――そして美治君も。

2020年の鼠年に、鼠小僧が子鼠を生んだんですが(笑)(※2015年主演『風の次郎吉 —大江戸夜飛翔—』鼠小僧次郎吉役は代表作の一つ)、コロナ禍ということもあって美治をどこかに預けることができなくて、楽屋で育てたようなものなんですね。そうしているうちに、舞台役者というものをあの子なりに身近に感じるようになったようで、「よしくんも舞台に立ちたい」と自分から言ったのがきっかけで、「じゃあ出る?」となったんです。別に役者へのレールを敷いているわけじゃないので、上手くやるとか成功することまでは望んではいません。もちろん、できるかぎり頑張ってお稽古は付き添ってやりますけど、もし失敗しても、「舞台役者とはこういうものだよ」というのを小さいころから体に刻んで経験してもらえればいいかな、くらいに思っています。

――美治君は初舞台になりますね。もちろん、親子初共演。

そうですね。母親として稽古に付いていく時は心配で仕方がないんですけど、私は私、扇治郎さんは扇治郎さんで一人の役者として舞台に立つので、いざ本番が始まったら、たぶん美治のことをバシッと潔く突き放すんじゃないかと思ってます。しかも第二部のショーでは、私は美治とは一緒の場面に出ない。扇治郎さんと美治の父子のシーンにして、私は次のシーンに出ることに決めたので、「何があっても自分でひとり立ちしないさい!」と突き放しています。連獅子の厳しさみたいですね(笑)。

――美治君はお稽古から大変そうですね。

はい。もっとも第一部の『先づ健康』はアドリブ合戦みたいなお芝居なので……どうなるんでしょうね(笑)。私は藤山寛美さんとか藤山直美さんの、アドリブなのか台本なのかわからないような舞台をたくさん観ているので、そこで何かがあったら拾いますけど。あたかもそれが台本かのように進められるというのも、私の一つの引き出しなのかもしれませんね。

――松竹新喜劇とタカラジェンヌ、何とも意外な組み合わせですね。松竹新喜劇をたくさんご覧になるのには何かきっかけがあったんですか?

宝塚の新人公演で主要な役を演じるようになったころ、お芝居を勉強することは好きだったんですが、楽しさがわからなくなって、さまよいだした時期があるんです。その時に『浅草パラダイス』という中村勘三郎さんや藤山直美さんなど凄いメンバーが出演されている作品を観て、「あ、お芝居って本当に楽しいんだな」ということに気づかされました。それから直美さんを追っかけて、南座でも松竹座でも新橋演舞場でも、ありとあらゆるところで観るようになったんです。こんなにも人を泣かせて笑わせて、また観たいと思わせる舞台を作れるなんてすごい!と思って。役者の面白さ、お芝居の面白さに気づいて、それからは松竹新喜劇に意識が向くようになりました。

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