
――安藤さんは、子どものころからダンスをされていたそうですね。
4歳でダンスを始めました。幼なじみが習っていて「やってみる?」と親に聞かれ、始めたのがきっかけです。本当は僕はサッカーをやりたかったんですよ。でもダンスを始めて、レッスンの後親に「楽しかった?」と期待に満ちた目で聞かれると4歳ながら期待に応えたくて「楽しかった!」っていつも言ってました。続けていくうちに本当に楽しくなって、ダンスバトルにもよく出場するようになりました。
楽しかったけど、上手くいかなくて泣きながら練習していた時もありました。難しいフリがあってうまく踊れないと、できない自分が悔しくて。僕のダンス人生は準優勝が多くてなかなか1位になれなかったから、悔しい思いをたくさんした記憶があります。そんな中、小学五年生の時に大阪大会で優勝して、グランドチャンピオン大会に出場できまして、そこでスカウトしていただき今の事務所に入りました。
――そこから芸能活動が始まったのですね。
EBIDANに入って、選抜メンバーとして活動して「あめりかんザリガニ」というグループ名を付けていただき、途中で「AMEZARI」に改名しました。僕にとって「AMEZARI」は学生時代の青春でしたね。グループにすべてを捧げて生きてました。
「AMEZARI」でもたくさん悔しい思いをしました。「この会場を埋めたい」「手売りでCDをこれだけ売りたい」という思いで、常に戦っていた7年間。挫折とか後悔とか失敗とかそんな言葉で置き換えられてしまうような経験も多かったけど、そこで培った経験は無駄じゃなかったと思います。
――初舞台も「AMEZARI」で活動している時期に経験されていますね。
はい。『apricot』という舞台でした。それまで舞台を観たこともなくて、芝居の経験もほぼなかったので、まずセリフを覚えるのが大変でした。でも楽しかったです。それから高校を卒業して、グループが解散することになって、これからは俳優としてやっていこうと決めて上京しました。

――2021年ごろから小劇場系の作品にたくさん出演されています。当時若手俳優さんが舞台に出るといえば2.5次元舞台が大きな活躍の場になっていたと思うのですが、小劇場に出たいというお気持ちが強かった?
実は僕はそのころ2.5次元舞台の存在をほとんど知らなかったんです。舞台と言ったら小劇場かグランドミュージカルくらいで、自分が出ることになった時に初めて存在を知りました。
小劇場に出ていた2、3年間で、狭い劇場に大人数がいた時にどうポジションを取るとみんなが見えるように立てるか、お客さんにお尻を向けちゃダメ、でも常に前を向いていたらリアルさがないからそこをどう工夫するかなど、たくさんのことを学びました。
これは2.5次元舞台に出るようになってから対比として感じたことですが、2.5次元じゃない舞台のほうがキャラクターに幅を出せるんですよ。クールな登場人物だとしても躓く時は躓くので、それをどうカバーするかが大事で、アクシデントも味になる。そういう自由さがあります。そっちのほうが僕の肌感覚としては生きてる感じがします。痺れる瞬間があるんですよね。
――初めて出た2.5次元舞台はヒプステ(『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-』)ですか。
はい。ヒプステは僕の人生の転換期でした。歯車が大きく動いた気がします。新しい世界に飛び込むきっかけになりました。
2.5次元舞台は躓かないキャラクターは躓いてはいけないんですよね。原作にできるだけ寄せていくことが求められる。でもその中にも僕が演じる意味はあって、99%寄せた上で、残りの1%でどれだけ遊べるか、自分なりのスパイスを入れられるか。やりがいも面白さも感じます。
それにどちらがいいと天秤にかけられない楽しさがあるんですよね。たとえば2.5次元にはライブパートがある作品が多くて、アイドルをやっていたころを思い出すんです。ダンスの経験も生かせますし、ミザンスの付け方も小劇場にはない作り方をしていて、各々の良さがあるなあと思います。小劇場で得たものを2.5に、2.5で得たものを小劇場に持っていける。僕にとってはどちらもなくてはならない存在です。

――今度出演する音楽劇『歌え!センシマン!』は、劇団「拙者ムニエル」の村上大樹さんによる、書き下ろしの新作です。
オファーを頂いた時はめちゃくちゃうれしかったです。少人数のストレートプレイは大好きなんです。一人ひとりがフォーカスされるし、より実力を試されると思っています。大阪人なのでコメディは好きですし、音楽劇だというのも面白い要素だなと思いました。座組の顔ぶれも個性豊かな方が揃っていて、「おっしゃー!」と。そのぶん、プレッシャーも大きいですが。
僕の演じる真実杜夫という役は、繊細なヒーロー「センシマン」と出会う、漫画家志望の純平の好敵手です。当て書きをしていただくそうなんですが、僕は初めての経験で、どんなキャラクターになるのか想像もつかないです。明るい子かな、暗い子でも面白いかな。村上さんに僕がどういう人間に見えているのかということですよね。まだ予想がつかないですが、そのキャラクターがお客様に愛されるように演じられたらいいなと思っています。
――歌って、踊れて、コメディができる。三つの要素を兼ね備えた方をキャスティングしたとうかがいました。
ダンスをしてきて、アイドル活動をして、俳優として舞台に立ってきた。これまで培ってきたものを全部ぶつけられる作品だと思います。どれだけネジを外せるか。怖気付かないように、しっかり準備をして臨みたいと思います。
――繊細なヒーローのお話ということですが、安藤さんはあまり繊細ではないそうですね。
自分のメンタルを保つために勝手な期待をしないように心がけているんです。勝手に期待して応えてくれなかったから勝手に傷つくって、時間の無駄だなと思っていて、いい意味で期待をしないようにしています。例えばペンが必要な現場にペンが用意されていなかったとしても困らないように、あらかじめ自分で用意しておくとか。自分のメンタル維持のために自分にできることはやっておくので、傷つくことはほとんどないですね。
ただ自分が、やろうと思っていたことが焦ってうまくできなかったりすると、それはちょっとメンタルが揺れてしまう。そういう時はセンシティブ出ちゃいますね(笑)。でも落ち込んでいる時間はもったいないので、改善点を見出して次に生かすことがベストだと思ってます。僕は前向きな効率厨なんですよ(笑)。

音楽劇『歌え!センシマン!』は2026年12月23日(水)〜12月27日(日)、大阪・サンケイホールブリーゼにて上演される。
詳細は下記公式サイトでご確認を。
https://sensiman-stage.com

