(取材・文/小野寺亜紀、撮影/河上良)
柚香光 早乙女太一 早乙女友貴
「最後はきちんとプロセニアムの劇場で終わらせたい」
野外特設テントでおこなわれた1990年の初演以降、7年ごとに再演を重ね、2017~2018年は客席が360度回転する劇場・IHIステージアラウンド東京で上演(1年3ヵ月連続公演で55万人を動員)。これまで11バージョンを上演してきた『髑髏城の七人』を、このたび「LAST STAND」と銘打ち最終公演としておこなう。
いのうえひでのりさんは、初演当時年齢が20代だった劇団員も今やほぼ50代になったことに触れ、「もともと若者のために書かれた勢いのある演目なので、そろそろ体力的にも……」と笑いつつ、「物語として面白いからこそ、歌舞伎ではないけれど古典化してもいい作品になるように、最後はきちんとプロセニアムの劇場で終わらせたい」と、再演への思いを口にした。
1997年、大阪・中座の公演では出演者が花道を全力疾走するあまり、劇場の人に「花道は走るもんやない」と注意されたことも笑顔で振り返る。その公演を観た故・坂東三津五郎さんから、「こういう芝居をすると小屋が喜ぶよ」と言われ、「やっぱり歌舞伎役者、うまいこと言うなーとしびれました」とも。この中座での成功がきっかけとなり、再演の規模はどんどん大きくなっていた。「今回も花道のある劇場で上演するし、大阪(フェスティバルホール)では客席通路を使い、客席を巻き込んだ芝居になると思います」と、演出プランについても語った。
いのうえひでのり
成長著しい早乙女兄弟、昨年驚愕した柚香光への期待
いのうえさんは早乙女太一さんが蘭兵衛役、天魔王役を経て、ついに主役の捨之介を演じる歩みを踏まえ、「古田(新太)を除く“ミスター髑髏城”みたいになっている」と評価。「捨之介はいろんなものを受け止め、自分なりのけじめをつける、懐の深さが必要な役。最近の彼の成長ぶりを見て、もう全然いけるなと思った」とキャスティングの理由を語った。
天魔王役の早乙女友貴さんには、これまで新感線の舞台で演じてきたやんちゃな役柄とは異なる魅力を期待する。「最近の『紅鬼物語』や彼のそのほかのいろんな舞台を観ていて、人間は成長し変わっていくものなんだなと。天魔王はちょっと狂気じみていながら、変に繊細な部分もある。今の彼ならそういう細かい部分、エキセントリックさを表現できるのでは」(いのうえ)。
極楽太夫役の柚香光さんには、「昨年の『紅鬼物語』で「こんな身体能力の高いすごい人がいるんだ!」と、僕も含めお客さんも発見があったと思う」と驚きを口にする。「今回は中島(かずき)くんという劇団☆新感線の本丸の作家が書く本で、存分に暴れていただきたい。チャンバラの魅力、蘭兵衛を想う淡い心も見せて、思う存分演じられるのを楽しみにしています」と満面の笑顔。
早乙女太一
「憧れた役をできるのはすごく光栄」
太一さんにとって、この作品は原点そのもの。「自分の夢が始まったのがこの『髑髏城の七人』。13歳のとき、仮面ライダーやウルトラマンのように憧れた役をできるのはすごく光栄。名だたる方が演じられてきた役どころで、目標でした」と語る。初めて観た捨之介は松本幸四郎さん(当時・市川染五郎さん)で、「かっこよさの中に抜け感があった」と振り返った。どのように演じるかは、稽古が始まってから「皆さんのお芝居を見ながら、一緒に作っていけたら」と静かに闘志を燃やす。
作品の魅力については、「これだけ続いてきたこと自体がすごい。キャラクターもやる人によって変わる、奥行きのある作品」と分析する。友貴さんとの殺陣についても言及。「新感線に出たばかりの頃は僕が友貴を挑発しにいってたけど、最近はちょっとサボっても友貴が助けてくれる。心強さがあるし、今回はまたいつもと違った立ち回りを作れたら」と、『天號星』(2023年)以来の新感線共演に期待が高まるコメント。
早乙女友貴
昨年『紅鬼物語』で共演し、殺陣のアドバイスも受ける
友貴さんはこれまで何度も本作を観てきたが、台本を読んであらためて、野望を持って捨之介の前に立ちふさがる天魔王役について発見があったという。「繊細な部分や狂気的な部分の要素が合わさった、すごく可能性のある役。自分にとって成長できる機会でもあり、どこまでやれるかなと、ワクワクした気持ちがすごくあります」と、落ち着いて話す。太一さんとの殺陣については「当たってもいいと思うことが一番大きいかもしれない。思う存分、当てるつもりでやりたい」と話し、いのうえさんが思わず笑う一幕も。
柚香さんは、初めて観た新感線の舞台が『髑髏城の七人』の“ワカドクロ”(2011年)だったと打ち明ける。「その作品が今回最後だと伺ったときは、本当に衝撃でしたが、『紅鬼物語』から1年というこの時間で、またご縁をいただけたことをすごく光栄に思いました」。昨年『紅鬼物語』で新感線に初出演し、「稽古場から笑いや、作品を作り上げていくんだ!というパワーが充満していて、客席から見ていた印象そのままの活気や温かさ、情熱が溢れていました」と印象を語る。
その『紅鬼物語』で共演した友貴さんからは、「殺陣の手の意味とか、その手に込められている言葉などを、1個1個丁寧に教えていただきました」と、殺陣の名手の友貴さんからアドバイスをもらっていたエピソードを告白。今回のアクションに向けては、「(昨年)もっとできたはずという思いがあります。その分を極楽太夫にぶつけていきたい。おふたりの凄まじい殺陣の応酬を途切れさせることがないよう、私も自分のアクションを務めたいです」と力を込めた。
柚香光
最後の『髑髏城の七人』に向けて熱い意気込みを語る
太一さんは「さまざまな形の髑髏城があるなかで、最後を締めくくれるように、集大成としてこの作品が残るよう務めたい。今回の髑髏城だけの新たなチャレンジもあると思うので、皆さんの思い出とともに、どちらも楽しんでいただけたら」と、作品のファンに訴えかける。
友貴さんは「新感線さんにとってたぶん一番思い入れのある作品だと思うので、劇団員の皆さんにもこれが最後で良かったと思ってもらえる髑髏城を作っていけるよう、精一杯精進したい」と頼もしい言葉。
柚香さんは「『髑髏城の七人』の歴史を今、いろいろな機会で目にしてあらためてすごい作品だなと感じております。作品のファンの皆さま、劇団関係者の皆さまの思いが集結している舞台。千秋楽の幕を閉じられるよう、自分の仕事をまっとうしたいです」と決意を述べた。
そして最後にいのうえさんが、「髑髏城はどの作品も、エモーショナルな空気感や高揚感があり、毎回キャスティングが変わるたびに、それぞれ違う新しい髑髏城になってきたと思います。今回はラストにふさわしい、新しいエモーショナルな髑髏城にしたい」と締めくくった。壮大な“いのうえ歌舞伎”の真骨頂を目に焼き付けて!

2026年劇団☆新感線46周年興行・冬公演
いのうえ歌舞伎『髑髏城の七人 LAST STAND』
東京公演/2026年11月14日(土)~12月25日(金) 新橋演舞場
長野公演/2027年1月21日(木)~24日(日) ホクト文化ホール
石川公演/2027年2月8日(月)~14日(日) 金沢歌劇座
大阪公演/2027年2月25日(木)~3月11日(木) フェスティバルホール
作:中島かずき
演出:いのうえひでのり
出演:早乙女太一 塩野瑛久・藤岡真威人(Wキャスト) 早乙女友貴/柚香光/
片岡千之助 桜井日奈子 近藤頌利 河野まさと/ 木村了 浜中文一 粟根まこと/山口馬木也 ほか
公式HP https://www.vi-shinkansen.co.jp/dokuro2026/
※近日中に、早乙女太一さんと塩野瑛久さんの特別対談を掲載予定です! Xのポスト等でお知らせしますので、ぜひフォローしてチェックしてくださいね!


