
ミュージカル『タイムトラベラーズ・ワイフ』は、9月5日、東京・EXシアター有明で開幕した。翌6日の17時公演が、主人公・ヘンリー役を務める岩本さんの体調不良により中止となり、その後、7日、8日に予定されていた3公演も中止となっていた。岩本さんの体調が心配される中、9月11日の公演から上演を再開することが明らかになった。同日は当初13時開演の予定だったが、15時開演に変更される。9月12日以降については、当初の予定通り上演するとしている。
時間変更によって11日の公演に来場できない観客にはチケットの払い戻しを実施。また、中止公演を含む払い戻しの詳細については、決まり次第、公式サイトで案内される。

時を超えて出会うヘンリーとクレア
『タイムトラベラーズ・ワイフ』は、オードリー・ニッフェネガーが2003年に発表した同名小説が原作。自分の意思とは関係なく時空を旅してしまう男・ヘンリーと、彼を愛する女性・クレアの人生を描く。
原作は世界的ベストセラーとなり、2009年には映画化され、日本でも『きみがぼくを見つけた日』の邦題で公開。2022年にはアメリカでテレビドラマ化され、2023年にはロンドン・ウエストエンドでミュージカル版が上演された。今回が日本初演となる。
日本版では岩本さんがヘンリー、和希そらさんがクレアを演じ、日本版上演台本・演出をウォーリー木下氏が手掛ける。
初日に先立って。9月5日にプレスコール&会見が行われた。プレスコールでは、劇中から以下の3つの場面が披露された。
ヘンリーとクレアの結婚式を描いた「ハピネス」。
幼いクレアがヘンリーにタイムトラベルについて尋ねる場面から、ヘンリーが空中へと浮かび上がり、岩本さんがフライングしながら歌唱する「ジャーニーマン」。
ヘンリーとクレア、娘のアルバによる家族の時間が描かれた「ビューティフルレインボー」。

会見では、岩本さん、和希さん、ウォーリーさんが登壇し、作品について語った。

岩本照、複雑なタイムトラベラー役にも「全然こんがらがらないです!」
物語の中でさまざまな年代を行き来するヘンリー。演じていて混乱することはないのかと聞かれると、岩本さんは「全然こんがらがらないです!」と即答して、「普段から仕事でさまざまな場所を行き来していることもあり、ヘンリーの感覚は自身の日常にもどこか通じる」と語った。「慣れています(笑)」と余裕を見せると、ウォーリーさんも、時間に翻弄されながら生きていくヘンリーという役について、「照くんにどんぴしゃで合っている」と、ベストな配役に満足気な様子。
「ジャーニーマン」ではフライングしながらの歌唱もあり、難しくないのかと聞かれても、「そこまで難しいとは思ってないですね」と涼しい顔。
さらに、タイムトラベルを表現する舞台上の仕掛けについても、自身にゆかりのある「サスケ」のように「分身の術」を使えるようになったと冗談を交えて語り、記者たちの笑いを誘った。

ヘンリーが突然姿を消したり、別の場所に現れたりするマジック的な演出も、本作ならではの見どころ。舞台上では時計の針を思わせるようなセットが目まぐるしく動き、映像や特殊効果なども交えて、“時間が交錯する世界”が視覚的にも表現される。
岩本さんは「この作品の魅力は、ときめきが多いところだと思います」と紹介。「恋愛だけではなく、それぞれの登場人物が“時間をどう使うのか”という部分にも注目してほしい」と語った。

和希そら「限られた時間の中で大切な人と向き合う」
一方、クレアを演じる和希さんは、17歳の少女から、やがて母親となるまでを演じる。若いクレアを演じる際には、演出家から「もうちょっとテンション上げよう」と言われることもあったといい、声の張りだけでなく、多感な年代特有の感情の揺れを意識して役を作っていると語った。作品については、「限られた時間の中で大切な人と向き合う」ことの大切さに触れ、「人には必ず別れが訪れるからこそ、現代を生きる観客にも響く物語」だと話した。
また、作品にちなみ「もしタイムトラベルできるとしたら?」と尋ねられると、和希さんは「過去にも未来にも行きたくない。今が充実している」と笑顔を見せた。岩本さんは、「両親が恋に落ちた瞬間を見たいな。自分が見ることのできなかった両親の恋の始まりをのぞいてみたい」と答え、岩本さんのなかのロマンチックな部分を垣間見せた。

ウォーリー木下が目指した「演劇の初心」
日本版上演台本・演出を手掛けるウォーリー木下さんは、本作について、「ラブロマンスを中心にしながらも、SFや“時間”をめぐる哲学的な問いなど、多くの要素を含んだ作品だ」と説明。日本版ではウエストエンド版をベースに改訂を加え、さまざまな観客がそれぞれの立場から物語を楽しめる舞台を目指したという。映像やマジック、特殊効果など、大がかりな仕掛けも多い。その一方でウォーリー木下さんが大切にしたのは、「演劇の初心のような舞台」であること。「俳優たちが舞台上で出会い、すれ違い、会話を交わし、歌う。そのライブならではの“化学反応”も味わってほしい」と語った。

9月11日15時から公演再開へ
華やかな初日を迎えた直後、岩本さんの体調不良によって公演中止が続いた『タイムトラベラーズ・ワイフ』。
9月6日17時公演、7日13時公演、8日13時・18時公演に加え、10日の13時・18時公演も中止となったが、主催者は岩本さんの体調を慎重に確認したうえで、11日から公演を再開すると発表した。11日は15時開演に変更、12日以降は予定通り上演される。
東京公演は9月24日までEXシアター有明で、その後、大阪公演が10月2日から8日までオリックス劇場で予定されている。
“いつ、誰と、どんな時間を過ごすのか”。タイムトラベルというファンタジックな設定を通して、限られた人生と大切な人との関係を描く本作。公演再開後、その物語が再び観客へ届けられる。

EX THEATER ARIAKE OPENING LINEUP
ミュージカル『タイムトラベラーズ・ワイフ』
脚色:ローレン・グンダーソン
音楽:ジョス・ストーン/デイブ・スチュアート
日本版上演台本・演出:ウォーリー木下
訳詞:及川眠子
音楽監督:落合崇史
出演:岩本照、和希そら、尾上寛之、青野紗穂、宮原浩暢、佐藤真弓、木村美桜・坂本愛来(Wキャスト)、壮一帆、鶴見辰吾ほか
東京公演:2026年9月5日~24日/EXシアター有明
大阪公演:2026年10月2日~8日/オリックス劇場
※公演情報は2026年9月9日時点。
