物語の舞台は、昭和31年、戦後復興期の日本の山奥にある哭倉村。日本を陰で牛耳る龍賀一族に取り入ろうとその当主の弔いを建前に村に向かう水木は、列車の中で奇妙な男と出会う。村にたどり着き、龍賀の家に入り込むことに成功する水木。だが跡目争いに絡んだ凄惨な事件が起き、犯人と疑われ捕まったのは、列車で出会った男だった。
水木がゲゲ郎と名付けた男の正体は幽霊族という妖怪で、行方不明になった妻を探しにこの村にやってきたのだという。二人はそれぞれの目的のために協力して龍賀一族の秘密を探ろうとするが……。
ゲゲ郎を演じるのは、鈴木拡樹。人とそっくりの姿を持ちながら、どこか浮世離れした妖怪の雰囲気は、鈴木にあてがきしたかのようにぴったりの配役だ。人外ではあるが、深く静かな愛と思いやりに満ちていることが、その穏やかな声や視線から伝わってくる。アクションシーンでは一転して映像とシンクロしたキレのある動きで迫力ある戦いを演じた。どろどろとした欲望と野心が濃縮した人間社会の坩堝のような因習村で、ゲゲ郎の存在が清涼剤のように涼しい風を吹かせていた。
水木役を務めたのは、村井良大。水木は悲惨な戦争を懸命に生き延びて戻ってきた元兵士で、復興期の日本でのしあがろうと野心を抱えて哭倉村にやってきた男だ。野望に相応しいずる賢さと行動力があり、心の底に絶望を抱え、決して善良なだけの人間ではないが、下駄の鼻緒が切れて困っていた女の子に手を貸したり、裁判もなく殺されそうになったゲゲ郎を助けたりと、人として真っ当な青年でもある。その絶妙なバランスを熟練の演技力と熱量で演じきった。
列車で出会い、閉鎖的な村で互いに余所者として再会した二人が、少しずつ距離を縮め、信頼を築いていく様子は、悲惨な事件が続く物語の中で清々しく心が躍る。ゲゲ郎と水木のバディものとしての魅力が、初共演作品から20年近くお互いを知る鈴木拡樹と村井良大ならではの息の合った芝居で、舞台上に溢れ満ちていく。
初舞台で難役に挑んだ岡本姫奈(乃木坂46)や、長田幻治役・良知真次の抑えの効いた芝居とクールな殺陣、沢海陽子演じる乙米をはじめとする龍賀一族の面々の一癖も二癖もある演技も光っていた。
妖怪が登場するオカルトとしても、龍賀一族の秘密を解き明かすミステリーとしても、妖怪や人間と戦うバトルアクションとしても、原案映画が持つ魅力を舞台ならでは脚本・演出で描きだしている。ライブ配信やライブビューイングも行われるので、劇場や映画館、ご自宅で、ぜひ見届けてほしい。


舞台「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」
東京/2026年1月9日〜 25日 サンシャイン劇場
大阪/2026年1月29日〜 2月2日
梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ
佐賀/2026年2月7日・8日
鳥栖市民文化会館 大ホール
原作:水木しげる
原案:映画『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』
脚本:毛利亘宏(少年社中)
演出:中屋敷法仁(柿喰う客)
音楽:川井憲次
出演:鈴木拡樹 村井良大
岡本姫奈(乃木坂46) 沢海陽子 しゅはまはるみ 岡内美喜子
コッセこういち 加藤啓 中田翔真 橋本偉成
三上市朗 良知真次 他
公式HP:https://www.kitaro-tanjo-stage.com
ライブ配信&ライブビューイング実施
9月9日 Blu-ray発売決定
©映画「鬼太郎誕生ゲゲゲの謎」製作委員会
主催 舞台「鬼太郎誕生ゲゲゲの謎」制作委員会
初日会見の様子



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