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Stage REVIEW

鬼才・寺山修司を香取慎吾が演じる音楽劇『テラヤマキャバレー』

2月9日(金)、東京・日生劇場にて舞台『テラヤマキャバレー』が開幕した。初日前日の8日(木)には公開ゲネプロと舞台挨拶が行われた。(撮影・文/臼井祥子)^

没後40周年を迎えた寺山修司の、虚実入り乱れた音楽劇

『テラヤマキャバレー』は、2023年に没後40周年を迎えた寺山修司を主人公に、寺山が人生最後の作品を作り上げようとする物語で、虚実入り乱れた音楽劇だ。

現実なのか夢の中なのかわからない摩訶不思議なキャバレーで、寺山と、寺山に名前をもらった劇団員たちが公演に向けて稽古に取り組む中、“死”が訪れる。寺山は、死を感動させる芝居を作ることを条件に、日が昇るまでの時間の猶予と過去や未来に行けるマッチをもらうが、劇作に行き詰まってしまい…。

美しくシュールで猥雑な空間で繰り広げられる、エネルギッシュな世界。寺山を信奉する劇団員たちだが、その言動は自由気ままで思い通りにならない。マッチを擦って過去に向かうと江戸時代の劇作家・近松門左衛門と出会い、未来に行けば寺山の「言葉」を微塵も受け継いでいない若者たちに出会う。そんな未来に打ちのめされ、振り回されながら、たった一晩で芝居を作り上げようとする寺山の姿が、主演の香取慎吾がカバーする楽曲「質問」(2月16日に配信開始)や「さよならだけが人生だ」「時には母のない子のように」など、さまざまな楽曲を交えながら、コミカルに力強く紡ぎだされる。

寺山修司と関わりの深い演劇人や作家が登場したり、『あしたのジョー』の主題歌が歌われたり、さりげなくポスターを貼る男が現れるなど、寺山ファンの心に刺さる小ネタも散りばめられていた。

演じていて寺山修司じゃなくなる時があったり、時には香取慎吾だったり。

ゲネプロ前に行われた舞台挨拶には、寺山修司役の香取慎吾と、成河、伊礼彼方、村川絵梨、平間壮一、凪七瑠海(宝塚歌劇団)、脚本の池田亮、演出のデヴィッド・ルヴォーが登壇。

香取慎吾は「僕は稽古中に、寺山修司さんが亡くなった年と同じ年になりました。(演じていて)寺山修司じゃなくなる時があったり、時には香取慎吾だったりするような気もします。とっても不思議なお話で、稽古の中でだんだんこの世界が好きになっていく自分がいました。一人でも多くの方に好きになっていただいて、日常では味わえないこのショー、エンターテインメントの楽しさ、夢の世界をたくさん感じていただけるお話になっていると思います」と挨拶。「劇場から帰る時には上を見て、何か自分の中に残った言葉を見つめる時間が訪れると思います。未来の笑顔に向かっていける作品になっていると思います。少しでも何かを感じ取ってもらえたら」と観客へのメッセージを語った。

劇団員の「白粥」役などを演じる成河は「デヴィッド・ルヴォーさんほど、日本の演劇や日本語、日本という国そのものに対して興味関心を持ち続けて創作をしている方はとても稀です。デヴィッドさんの集大成のような作品になっていると思いますので、そのメッセージを最後まで受け取れたらと思っています」

「蚊」役の伊礼彼方は「最初本を読んだ時にはチンプンカンプンでわけがわからなかったのですが、昨日、1幕を通して、今日2幕を通し、ものすごいエネルギッシュだと感じました。キャストスタッフのエネルギーが客席に伝わった時、刺激的なショックを受けていただけると思います」

「死」を演じる凪七瑠海は「宝塚以外の舞台に出るのは初めてで、全てが新鮮で刺激的でただただ圧倒される日々でした。香取さん率いる素晴らしいカンパニーに必死でついていけるように、私も死としてこの作品にきちんとエッセンスを加えられるように頑張ってまいりたいと思います」

劇団員の「アパート」役などを演じる村川絵梨は「熱量とジェットコースターのような緩急が待ち受けています。観客の皆様の感想がこんなに楽しみな作品はそんなにないと思います」、劇団員の暴言役などを演じる平間壮一は「最近の社会では完璧なものを求められがちですが、間違っていることに面白さがあったり、不完全なことに深みがあったりします。そういう人間がテーマになっていると作品だと思います。深い愛を受け取りに遊びにきてくれたらうれしいです」とコメントした。

演出デヴィッド・ルヴォー「この作品は、私の日本の演劇の世界に対するラブレター」

演出のデヴィッド・ルヴォーは「この作品は、私の日本の演劇の世界に対するラブレターだと思っています」と語り、脚本を手がけた池田亮は「寺山修司さんの言葉を読み漁りながら、関係者の皆様とセッションして作ってきました。その脚本が、キャストスタッフの皆さんによってこれほど立体的になるとは思いもよらず、書いたのは自分ですが、この作品は皆さんによって完成し、観客の皆様によっても完成する作品だと思っています」と初日前の思いを語った。

本作は2月9日から29日まで東京・日生劇場、3月5日から10日まで大阪・梅田芸術劇場メインホールで上演される。詳細は下記公式サイトにて。
https://www.umegei.com/terayama_cabaret2024/

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