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Stage INTERVIEW

玉置玲央、7年ぶりの上演『Take Me Out』に再び挑む。

メジャーリーグを舞台に、同性愛者であることを告白したスター選手と混乱するチームの様子を描き、社会的マイノリティの問題に深く切り込んだ舞台『Take Me Out』。2003年にトニー賞を受賞し、2016年に日本初演。2018年に再演された本作が、日本で3回目の上演を迎える。演出は藤田俊太郎。今回初めての試みとして、再演に出演した俳優たちに新メンバーを加えたレジェンドチームと、一般公募330人から選ばれたフレッシュな新メンバーのみで構成するルーキーチームに分かれての上演となる。2018年に引き続きメイソン・マーゼック役を務める玉置玲央に、話を聞いた。(撮影・文/臼井祥子)

「小劇場や演劇の世界に熱量を取り戻したい」

――2018年以来、7年ぶりに『Take Me Out』が上演されます。玉置さんご自身はNHK大河ドラマ『光る君へ』に出演されるなど、映像の世界でのご活躍も増えて、この7年間でだいぶ変化があったのではないかと思いますが。

気持ちとしてはあまり変わらないです。今まで通りにやらせていただいているつもりです。でも確かに街中で人に気づかれるようなことは増えましたね。僕は前々から気に入って通っていたお店で店員さんに声をかけられたりすると、気まずくなって行けなくなっちゃうタイプなので、それが少し残念です。もちろん良かれと思って声をかけてくださるので、ありがたいことではあるんですけど。

――演劇ファン以外の方にも広く知られるようになったのですね。

そうみたいですね。舞台って限られた芸術で、誰もが観るものじゃない。それはもう、そういう文化だからしかたないのですが、裾野を広げたいという気持ちはあります。今のままではどうしても先細りだと思うんですよ。悔しいけれどそれは揺るぎない事実で、小劇場でやってきた身としては、そこに抗わないわけにはいかない。だから映像で僕を見て、こんな俳優がいるのなら舞台を観に行ってみようと思ってもらえたらうれしいですね。

――そもそもどうして演劇の世界に入られたのですか?

実は舞台というものにまったく興味がなくて、たまたま入れる高校がそこだけだったという理由で、関東国際高校の演劇科に入学したのがきっかけです。そこから演劇との関わりが始まって、将来的に舞台の裏方業で食べていこうと思っていました。同時に同級生と劇団を立ち上げて俳優もやっていまして、ありがたいことに年を経るごとにだんだんと俳優業と裏方業の需要がいい具合に逆転していって、「あ、俳優でもごはん食べられるんだ!」となって、今に至ります。

――すごいことですね。

どうかなあ。当時僕が所属していた裏方のスタッフを派遣する会社には、裏方をやりながら俳優をやっている人は結構いました。だからよくあったんじゃないかな。僕の世代くらいからだんだんなくなってきましたが。俳優一本で食べていけるようになったのは27、8歳の頃からです。

――そこからさらにご活躍を重ねて、今の人気があるのですね。気持ち的にはあまり変わらないとのことですが、前進している手応えはありますか?

それはあります。取り巻く環境が変わって、自分が出る作品のバジェットも大きくなって、そういう意味では。僕は第三次演劇ブームの最後のほうの世代なんですが、当時はそういう“俳優として売れるモデルケース”みたいなものがあったんですよ。小劇場で下積みして大きな舞台に出て、テレビの人が観に来てくれてキャスティングしてもらって、テレビで売れる。そういう俳優のロマンみたいなものがありました。けど今はないですよね。小劇場も下火だし、劇団も下火だし。だからあの熱量をもう一度取り戻したいな、烏滸がましいけど下の世代にも感じてほしいなと思って活動してきているところはあります。

――そういう思いで舞台に立っていらっしゃるのですね。2018年の『Take Me Out』はどんな感じでしたか?

どうだったかなあ。初めましての方が多かったんですよね。藤田さん(演出・藤田俊太郎)の演出を受けるのも初めてで。主催がシーエイティプロデュースだから、絶対変な座組にはならないなという確信があって臨んだ記憶があります。実際とても楽しかったです。

(次ページへ続く)

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