
「秘めた熱さ、内なるエネルギーがある作品」
――レイディマクベスは悪女として語られることも多いですが、これまでの作品などから受けた役の印象は?
少し形は違いますが、劇団☆新感線の『メタルマクベス』もそうですし、舞台、映画、小説などいろいろな作品がありますよね。特に印象に残るのは、「手の血が消えない」と、ずっと手を洗っているところで、怖かった覚えがあります。ただ私自身はマクベス夫人って、そこまで引っかかる人物ではなかった。だからこういう切り口で舞台にすると聞いたときは、「そういう視点があったんだ!」と驚きました。
――どのように演じていきたいとお考えですか?
今回のレイディマクベスは、彼女の行動や想いが丁寧に描かれているので、そこを踏まえて「やっぱり希代の悪妻だ」と思われるのか、「方向を間違ってしまった人」「悲しい人」「強い人」などと捉えられるのか。私も観客の皆さんに伺ってみたいです。

――マクベスとレイディマクベスとの間に子どもがいる、というのがまた斬新です。
物語の中で、“母である”という部分が一つ増え、それによって人生が大きく変わっているストーリーになっているので、そこも楽しみにしていただけたらと思います。
――天海さんとアダムさんとの奇跡的な共演ということで、ダンスシーンを期待される方もいらっしゃるかと思うのですが。
いくつかダンスシーンはありましたが、さぁ、どうでしょうか!? それが私かどうかはわからない、と今はお伝えしておきます(笑)。

――アダムさんから吸収したいことがあれば教えてください。
やはりアダムさんもウィル・タケットさんもイギリスの方なので、シェイクスピアに対するベースが日本人の私たちとは違うんです。台本の中で、どこが古い言葉で、どこが新しい言葉なのか。表現の違いはどうなるのか、といったことを教わるのが楽しみです。あとはアダムさんのウォーミングアップをこっそり真似したいです。そうすれば、もう少し身体の使い方もうまくなるんじゃないかなと。
――ところで天海さんは今年、第48回菊田一夫演劇賞を受賞されました。おめでとうございます。
ありがとうございます!
――改めて“舞台に立つ”ことへの思いをお聞かせいただけますか?
私はもともと舞台から出てきたので、やはり初心に帰る場所でもあるんですね。今の自分はどんなものか。例えば発声が前よりよくなっているとか、体力低下の際にはどう補うかとか、自分自身を知るためにも舞台は私にとって大切な場所なんです。できれば何年に一本、必ず出たいなと思っているジャンルです。

――東京公演に続き、京都劇場での公演も予定されています。
私は京都で公演するのは、たぶん初めてなんです。古い物語である『マクベス』を題材にした作品を、いろいろな歴史が残る京都で上演できることにワクワクしています。下剋上など、同じような歴史が繰り返されてきた場所ですから。日本全国から京都に来て、『レイディマクベス』を観て京都観光をする。私なら個人的にこれ、すごくやりたいと思います(笑)。
――ありがとうございます(笑)。では最後に意気込みをお願いします。
私とアダム・クーパーさんが同じ舞台の上に立っている。そんなことは今後一生ないと思いますので、ぜひそれを確かめに観に来てください! 前回出演した『薔薇とサムライ2-海賊女王の帰還-』は、思い切りウワーっと発散する作品でしたが、この『レイディマクベス』は、秘めた熱さ、内なるエネルギーがある作品という気がします。シェイクスピアの『マクベス』をご存知ない方も、よくご存知の方も楽しんでいただける舞台だと思いますので、ぜひ劇場に足をお運びください。

『レイディマクベス』

東京公演/2023年10月1日(日)〜11月12日(日) よみうり大手町ホール
京都公演/2023年11月16日(木)〜11月27日(月) 京都劇場
作:ジュード・クリスチャン
演出:ウィル・タケット
出演:天海祐希 アダム・クーパー 鈴木保奈美 要潤 宮下今日子 吉川愛 栗原英雄
公式HP https://tspnet.co.jp/ladym/

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