(取材・文/小野寺亜紀、撮影/桃子)
新たな“RSP”=レヴュー・スチームパンクとは!?
本作は、大正浪漫の空気漂う時代のとある炭鉱町を舞台に、秘密好きの名探偵・アケチコ五郎(宮野)と、マニラ育ちの帰国子女にして名探偵の新田一耕助(神山)が、地元歌劇団の歌姫の失踪事件を追ううちに次々と奇怪な出来事に巻き込まれていく、ドタバタ音楽活劇ミステリー。生バンドで演奏する“R”シリーズの系譜で、岸田國士戯曲賞作家の福原充則さんが書き下ろし、いのうえひでのりさんが演出を務める。
宮野真守
いのうえさんは、「久しぶりにドタバタ・お笑いのテイストで、新しい空気感の作品をやりたいと思い、福原くんに初めて書き下ろしてもらいました。なんとなくミステリー仕立てですが、登場人物にまともな人はいなくてみんな変態。真面目にその変態道を進む人たちが作るロマンです。大正浪漫を感じる時代を舞台に、スチームパンクな要素を多分に取り入れたレヴューショーを融合させ、“RSP”(レヴュー・スチームパンク)と名付けました。ヘンテコで、ちょっと気持ち悪い感じは出したいですね」と笑う。
宮野さんはアケチコ五郎役について、「名前から胡散臭いですが(笑)、秘密が大好きな探偵。その秘密好きにも理由があって、物語が進んでいくうちにいろいろなことがわかってきます。口八丁に言いくるめて金を取っていく、派手でクセのあるキャラクターです」と解説。初共演となる古田新太さんからの、「マモ(宮野)なんて根っからの変態だろうから」というリリースコメントに対しては、「褒め言葉ですよね!? 主演のプレッシャーがあるけれど、その一言は励みになります! 僕は自分では結構普通の人間だと思っているけど、自分のこだわりを役に込められたら、必然的に僕の変態性が出るんじゃないかと思います」と前向き。
神山智洋
一方、神山さんは、役名の新田一耕助にピンときたという。「先輩の堂本剛さんから始まり松本潤くん、亀梨和也くん、山田涼介くん、道枝駿佑くんという、そうそうたるメンバーが受け継いできた“金田一耕助”を、僕は新田一耕助として新たに演じさせていただきます」と話すと、会場が笑いに包まれる。「シャーロック・ホームズに憧れ、見た目は松田優作(『探偵物語』)という、「探偵要素全盛り」のキャラクター。そのビジュアルにも負けないクセの強いキャラクターを演じることができれば嬉しいです」と意気込む。
そんな個性的な探偵を演じる両名について、いのうえさんは「ふたりとも明るくてポジティブ。この事件は僕がやります!みたいなうっとうしさが、ドラマを引っ張っていくので、サービス精神過剰なところが、探偵たちの魅力になるはず」と期待する。
主宰・演出のいのうえひでのり
「ギター20何本も持ってるのは変態だよ!」
宮野さんは2022年の『神州無頼街』以来、新感線3度目の登場で初の単独主演。「新感線の舞台を観るたびに、「またここに戻ってきたい」と思っていたのですごく幸せです。単独(主演)と言っても、神山くんと一緒というのが大きいと思うので、ふたりで頑張っていきたい」と神山さんに笑顔を向ける。すでに本読みが始まっている稽古では、アニメ好きな神山さんが、つい大好きなアニメキャラの声で宮野さんの声を脳内変換させていたと言い、「本当に耳が幸せで!」と打ち明けると、宮野さんが「集中してください!」と突っ込む一幕もあった。
神山さんは2016年の『Vamp Bamboo Burn~ヴァン!バン!バーン!~』以来、10年ぶりの新感線出演。当時を「お芝居に対する向き合い方がすごく変わり、お芝居って本当に楽しい、笑ってもらえるのはこんなに素晴らしいことなんだと身をもって体感した」と振り返る。
宮野真守と神山智洋
宮野さんは神山さんに、「真面目さやまっすぐさを感じていて、サービス精神過多な宮野にそっと寄り添い、サポートしてくれている」と太鼓判。神山さん自身、「真面目が服を着ている」と言われることがよくあるという。「ただ最近、(WEST.)メンバーの重岡大毅から『グループで一番変なのは神ちゃんやから』と言われて。変態な部分は僕にもあると思うので、自分の知らない自分に会えることが楽しみです」と神山さんが語ると、「ギター20何本も持ってるのは変態だよ!」(宮野)と再びツッコミがあり、笑いを誘った。

また今回は、看板俳優の古田新太さんが出演。宮野さんは「劇団☆新感線のステージで古田さんとご一緒することは憧れでした。本読みのとき、正体不明・性別不明の怪人アンダルシアン・クーガーの声を発されていたのですが、それだけで異様でした。まだオーラにビビってはいるのですが、たくさんお話を聞けるのが楽しみです」。同じく初共演の神山さんは、「(古田さんは)裏では本当に優しいのに、芝居の場になると一気にその場を掌握するオーラがあり、心をつかまれます」とやはり圧倒されている様子。いのうえさんは、「古田は人の芝居をすごく見てるので、僕からじゃないアドバイスが出てくるよ」と伝え、その言葉の中に信頼感がにじんでいた。
「60年代のロックがベース、耳心地のいいキャッチーな音楽劇」
宮野さんは、「劇団の46年の歴史のなかでも今までやったことがないと言わしめる題材に参加できるのは光栄なこと。本読みの時点でキャスト・スタッフ全員がゲラゲラ笑っていて、このお芝居は大丈夫だと確信しました。変態たちの変装がふんだんに出てくるので、これをどう表現するのか!? 絶対面白いだろうし、今までにないテイストのビジュアルを見せられると思います」と熱く語った。

神山さんは、「僕自身、新感線が大好きです。没入感がすごいし、魅せるエンターテインメントの真骨頂。自分自身がこの10年間で吸収してきたものを、出し惜しみせずに全部出していきたいなと思っています」と、充実した笑顔を見せる。

いのうえさんは、これまでとは一風変わってアングラ色も滲ませた、歌あり踊りありアクションありの本作の魅力にさらに踏み込む。「新感線というとメタルやハードロックのイメージがあると思いますが、今回ロックはロックでも60年代の音楽がベースで、耳心地のいいキャッチーな音楽劇として面白いものになるのでは。皆さんお見逃しなく!」。

2026年劇団☆新感線46周年興行・夏公演
SHINKANSEN☆RSP 怪奇骨董音楽劇
『アケチコ!〜蒸気の黒ダイヤ、あるいは狂気の島〜』
作:福原充則
演出:いのうえひでのり
出演:宮野真守 神山智洋/
石田ニコル 浜田信也 志田こはく 粟根まこと/
古田新太 ほか
東京公演/2026年6月12日(金)~7月12日(日) EX THEATER ARIAKE(東京ドリームパーク内)
福岡公演/2026年7月24日(金)~8月8日(土) キャナルシティ劇場
大阪公演/2026年8月20日(木)~8月30日(日) フェスティバルホール
公式サイト https://www.vi-shinkansen.co.jp/akechico/
