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「いつも歌劇団には『あなたはホント冒険する人だね』と言われてました」

――2018年に満を持して星組トップスターに就任されました。スター路線から専科を経てのトップ就任という人事にファンは大喜びだったと記憶しています。

専科時代に出ていた星組公演『眠らない男・ナポレオン —愛と栄光の涯に—』は、番手がない役で、フィナーレで並んだ時のポジションは三番手さんよりも外側の立ち位置でした。だから、そんな私が星組に本当に受け入れてもらえるんだろうかとか、やっぱりいろんな恐さがありました。でも、恐いとか言ってる場合じゃなかったので。「一年半で必ずやめます」というのを条件にお引き受けして、自分が今まで学んできたことの集大成として、お客様に恩返しするつもりで務めました。私の場合、やっぱり応援してくださったファンの方々の熱意であっての、奇蹟に近いトップ就任だったと思うんですよね。通常だったらありえないことでした。

――星組配属後は北翔さんの職人技が光るだけでなく、作品にも恵まれ、実にバラエティに富んだ公演が並びました。『大海賊』『Amour それは…』といった思い出の作品で全国を回ったプレお披露目公演を経て、ブロードウェイ・ミュージカル『ガイズ&ドールズ』での大劇場トップお披露目、オペレッタ『こうもり』&北翔海莉の持てる技をふんだんに散りばめた『THE ENTERTAINER』、そしてサヨナラ公演は和物のお芝居『桜華に舞え』とクラシカルな宝塚レビュー『ロマンス!!』でした。

トップとして大劇場で三作やるにあたって、どんな作品をいつ、どこに配置するかは、自分の中で構想ができていたんです。一本もののミュージカルの後はディズニーとコラボしてのショー『LOVE AND DREAM』でキラキラの王子様になって、大劇場二作目はオペレッタとショー、その後にバウホールコンサートをやって、サヨナラ公演は和もののお芝居と王道レビューをやって…というふうに。

――当時、トップスターのサヨナラディナーショーが定番でしたが、北翔さんはバウホールのコンサートでしたね。

サヨナラディナーショーのかわりにバウホールでコンサート『One Voice』を開催しましたね。ディナーショーだと料金がかなり高くなるのと、キャパも狭くなるので、来られる人数が限られてくるのが悩みでした。リーズナブルでより多くの人に恩返しをするにはどうしたらいいかと考えた時に、バウホール公演をアイデアとして出しました。でも、今まで前例がなかったんですよ。専科生時代、2015年にビルボードでライブやった時もそうだったんですけど、私は前例のないものばかりやらせていただいて。「じゃ、自分で切り開いていけばいいんじゃない?」が口癖になっていたので、いつも歌劇団には「あなたはホント冒険する人だね」と言われてましたね(笑)。

――歌劇団公認の冒険する人だったんですね。

トップとして初めてのショー『THE ENTERTAINER』は野口幸作先生の大劇場デビューで、102期の初舞台公演でした。私の限られた公演の中で「失敗は許されない、冒険させられない」という歌劇団の思惑もあって、実はベテランの先生が演出という話もあったんです。でも、「いや、ぜったい失敗させないから! 挑戦しないとわからないよ」と言って野口先生のお披露目デビューが実現したんです。「何があっても私が責任とるから」と言っちゃってたので、野口先生が持っている才能を爆発させてもらえてよかったです(笑)。

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