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Stage INTERVIEW

『エリザベートTAKARAZUKA30th スペシャル・ガラ・コンサート』企画第二弾:麻路さき×彩輝なお、トートの裏話続出の楽しいトーク

宝塚歌劇団雪組による日本初演から30周年を記念し、『エリザベートTAKARAZUKA30th スペシャル・ガラ・コンサート』が上演される。1996年、初演の雪組に続き上演された星組『エリザベート』で、新たなトート像を築いた麻路さきさん。その新人公演で主演し、2005年の月組公演では自身の卒業公演としてトートを演じた彩輝なおさん。ふたりはそれぞれ、96年星組・05年月組の「アニヴァーサリーバージョン」で、トート役としてコンサート形式の本編上演に挑む。今よみがえる当時の思い出や、トート役の苦労とは――。
(取材・文・写真/小野寺亜紀)

「今はもう、男役なら絶対やりたい役」

――1996年星組公演の『エリザベート』では、麻路さんが本公演で演じられた主役のトートを、彩輝さんが新人公演で演じられました。

麻路さき(以下、麻路):当時は初演からのプレッシャーが大きくて。星組バージョンとして、星組ならではのものを作りたい、という思いが強く、稽古場で四苦八苦している状態でした。私基本的に、稽古場では楽しみながら作っていくタイプなのですが、あの時ばかりはさすがにキリキリしていたかな。もっと余裕をもって、新人公演のさえちゃん(彩輝)に教えてあげられたら良かったのだろうけど、「ちょっとまだ今は待ってくれるかな?」みたいな空気が出ていた気がします。

彩輝なお(以下、彩輝):全然そんな感じはなかったです! そこがマリコさん(麻路)のお人柄。やっぱりおおらかで、大きくて。細かいところまで丁寧に教えてくださいました。舞台上のことだけではなく、裏の導線のことなど、何もかも。

麻路:本当? 新人公演は普通、お芝居だけ上演するものだけど、一本立ての作品なので時間も長くてね。

彩輝:そうですね。マリコさんのトートの美しさや悲しみ、ダイナミックさやいろいろな所作など、自分にとっての指針としていました。

――トートはやはり男役にとって、おもしろい役でしょうか。

麻路:30年前はトップスターが死神をやるということで、皆さんも想像がつかなかったと思うのですが、今はもう、男役なら絶対やりたい役だと思います。宝塚に入ってトップを目指していたら、「トートをやってみたい」と思う人は多いんじゃないかな。

トートは実在しない役なので、どのようにも作れますよね。エリザベートは、資料や写真が残っているし、どうしてもそこからかけ離れることはできないけれど、トートは自由。それがこれだけ長く人気が続いてきた理由なのでは、と思います。同じことをやっているはずなのに、その時のトップスターさんのカラーによって、見た目も雰囲気も全然違って見えてくる。そこがすごくおもしろいですよね。

――麻路さんのトートは、肌の色をかなり白くされたメイクでしたね。

麻路:日本物の公演のときに使う化粧品を使用していたんです。

彩輝:あのお化粧の手法、私も新人公演や、2005年に本公演で演じた時も取り入れました。シャベを少し混ぜると、ピタッと肌にくっつくんですよね。陶器のようなイメージ。

麻路:トートの歌で「青い血」という歌詞があるので、健康そうに見えてはいけないと思って。血色のいいトートはちょっと……(苦笑)。

彩輝:人間味のないような色でしたよね。

麻路: 私、体格もしっかりしている男役だったので、人間っぽく見えないようにするにはどうしたらいいかを考えて、「じゃあ色を白くしよう」と。必死にみんなと違う色に、「人間じゃない存在」にしようと思っていました。

時代とともに変わる⁉ トートの役作りの苦労

――ネイルも印象的でした。当時の男役で、なかなかあそこまでの表現はなかったのでは?

麻路:はい。今はネイリストさんもたくさんいますし、黒や不思議な色など、いろいろなカラーのネイルが売っていますよね。でも、あの頃はなかった。ネットで買うこともできないし、探すのが本当に大変でした。

彩輝:ジェルネイルとかもなかったですよね。

麻路:家では猫缶を開けなきゃいけなくて爪を切っていたのに、急に爪を伸ばし始めて、生活に支障が出てきました(苦笑)。

――自爪だったのですね⁉

麻路:そうです! 公演の稽古が始まってから伸ばし始めました。もちろん少しずつは切りますけど、東京公演の千秋楽までは、割れない限り自爪で通して。黒いネイルは輸入物を取り扱うショップでたまに見かけるぐらいで、全然材料が手に入らなかったんです。光るものも売ってないし、それを探すところからでしたね。

――彩輝さんは、新人公演でどうされていましたか?

彩輝:私は爪は伸ばしていなかったです。本役があったので。でも東京公演の時に、知り合いの方にやってもらいました。

麻路:貼ってくれるやつ?

彩輝:はい。すごく時間をかけてやってもらった覚えがあります。2005年に本公演でトートを演じた時は、ジェルネイルとかが出てきて。

麻路:世の中が進化してたんだよね!

彩輝:ネイルサロンに行って、やっていただきました(笑)。

スペシャル・ガラ・コンサートならではの緊張と楽しさ

――おふたりは『エリザベート スペシャル・ガラ・コンサート』 に何度もご出演されていますね。過去にはトート7人が勢揃いし、並んで歌う場面もありました。

麻路:あれは楽しかったです!でもひとつの曲を少しずつ分けて歌うので、「今日は私、どこを歌えばいいんだろう?」と。その日によって歌う箇所が変わるので、ドキドキでした。

彩輝:私、一番間違えたくないミスをしました(苦笑)。一瞬、無言になってしまったことがあって。

麻路:あったね!

彩輝:一節を歌えず、その次から歌いましたけど、嫌な汗が出てきて……。

麻路:前後の人はドキッとしたと思う(笑)。

――皆さんが並ばれると、個性の違いも際立ちますよね。

麻路:そうですね。トートの登場で片手を上げる何気ない振りでも、それをトート7人で並んでやると、戦隊もののポーズみたいになるんですよ(笑)。

彩輝:(笑)。

麻路:“ゴレンジャー”みたいで(笑)。稽古場でも笑いが起きて、「やめとく?」と言ったぐらい。でも結局やりました。

彩輝:そうでしたね!

――好きなナンバーもぜひ教えてください。

麻路:私は「ミルク」とか、「不幸の始まり」とか大合唱するナンバーが好きですね。歌っていて、ものすごく気持ちいいんです。後ろから大コーラスがぐっと来て、どんどんクレッシェンドしていく感じがゾクゾクします。

彩輝:わかります。私は「ミルク」からの「闇が広がる」が好きです。みんながワーッとなった後に、トートひとりになる感じが。

麻路:あそこ、ちょっと違う雰囲気でいいよね~。

「これで最後かもしれない」と作品の世界に集中

――2021年のスペシャル・ガラ・コンサートはコロナ禍で、麻路さんがトートを演じられた「アニヴァーサリー´96星組バージョン」は、無観客公演になってしまいましたね。

麻路:生では観ていただけなかったけど、やらせてもらえること自体がありがたくて。逆にものすごく集中できました。あの時は、「これで最後かもしれない」と思っていたので、ものすごく入り込んでいました。お客様の前だったら、「ここで泣くと、歌えなくなるから我慢しよう」と思うかもしれない。でも無観客だと、泣いてもいい、全部出してもいい、みたいな感覚になり、後から現実に戻る感じでした。

――彩輝さんは前回のスペシャル・ガラ・コンサートは「アニヴァーサリー25周年バージョン」のみのご出演だったので、今回久しぶりに全編通してのトート役ですね。

彩輝:毎回、舞台に立つ瞬間に「キューッ」と気持ちが戻る感覚があります。あの前奏がかかった時の緊張感や集中力、スタンバイしている時の空気は、やっぱり特別だなと感じます。稽古場では皆さんと楽しく作っていて、純粋にその時間を楽しんでいる感覚に近いのですが。

麻路:本当に楽しいよね。稽古場はもう同窓会みたいなものだから(笑)。

彩輝:でも、いざ板の上に乗ると、向き合い方が一気に変わるというか、集中力が「キューッ」と高まる。その切り替わりも含めて、やっぱり楽しいですし、こうして『エリザベート』の舞台に立たせていただけることが、本当にありがたいなと思います。

――エリザベート役が変わると、例えば天空へ昇っていくエピローグのトートの表情も違うように感じます。

麻路:最後のエリザベートとトートの場面は、同じ歌を歌っていても、エリザベート役の方がどこで近づいてこられるかなど、その方によって全然違うんです。走ってくるスピードも違うし、「ここで来るんだ⁉」と驚くこともあります(笑)。本公演ではそのあたりをきっちり決めますが、「アニヴァーサリーバージョン」では特に、その違いを楽しんでいるところもありますね。

彩輝:私はガラ・コンサートで最後の場面をあまりやっていないので、通しでやる時は特別な緊張感があります。今回は同期の月影瞳が演じるエリザベートと向き合うので、今の私たちが感じることを大切にしたいなと思っています。

――最後に読者へメッセージをお願いします。

麻路:30年を経るなかで、毎回スペシャル・ガラ・コンサートでは「これが最後かもしれない」と思ってやらせていただいています。今回は星組バージョンとして、全編お客様の前でお届けできることが本当にうれしいです。10年ぶりにお客様の前でさせていただくということで、年月を重ねた今だからこそ見せられるトートを、感じていただけたらと思います。

彩輝:それぞれの組、それぞれのバージョンに思い出がある作品だと思います。お客様の中にも、それぞれの『エリザベート』の歴史があるはず。その記憶と一緒に、劇場で同じ空気感を味わっていただけたらうれしいです。『エリザベート』を愛してくださる皆さまに感謝を込めて、今できるベストを尽くします。

阪急阪神不動産presents
『エリザベートTAKARAZUKA30th スペシャル・ガラ・コンサート』

東京公演/2026年2月6日(金)~2月20日(金) 東京国際フォーラム ホールC
大阪公演/2026年2月28日(土)~3月15日(日)  梅田芸術劇場メインホール
愛知公演/2026年3月23日(月)~3月25日(水) 御園座

脚本・歌詞:ミヒャエル・クンツェ
音楽・編曲:シルヴェスター・リーヴァイ
構成・演出・訳詞:小池修一郎
演出:中村一徳
出演: 一路真輝、麻路さき、高嶺ふぶき、稔幸、香寿たつき、えまおゆう、姿月あさと、和央ようか、湖月わたる、月影瞳、彩輝なお、朝海ひかる、大空ゆうひ、瀬奈じゅん、水夏希、大鳥れい、霧矢大夢、音月桂、北翔海莉、白羽ゆり、凰稀かなめ、夢咲ねね、望海風斗、明日海りお、真風涼帆、珠城りょう、柚香光、美園さくら、星風まどか、初風緑、彩吹真央、愛月ひかる ほか
特別出演/美穂圭子・悠真倫・小桜ほのか(宝塚歌劇団)

公演HP https://www.umegei.com/elisabethgala30/

 

 

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