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Stage REVIEW

宝塚歌劇OGが大阪・関西万博で名曲づくしのショー。『未来へのOne Step!』ステージレポート

大阪・関西万博EXPOホール「シャインハット」にて、4月29日~5月1日に、宝塚歌劇OGによる1幕ノンストップのショー『未来へのOne Step!~世界を結ぶ愛の歌声~』が開催された。この公演は引き続き、2幕ものにボリュームアップし、5月17日~20日に「東京国際フォーラム ホールC」、5月25日~27日に「梅田芸術劇場メインホール」でも上演される。大阪・関西万博公演のみ、元雪組トップスターの麻実れいさんが語り部として出演。各国を彩る名曲や、宝塚歌劇の名ナンバー、民謡メドレーなどを華やかに届けたショーをレポートする。
(取材・文・撮影/小野寺亜紀)
オープニング

晴天に恵まれた2025年4月29日(火・祝)、初日の開幕直前に『未来へのOne Step!~世界を結ぶ愛の歌声~』公開ゲネプロが行われた。「シャインハット」は大阪・関西万博の開会式も行われた約1900席の円形劇場。関西の地で生まれた宝塚歌劇を広く世界へ発信しようと、宝塚歌劇OGが約90分のショーを繰り広げた。大阪・関西万博に入場すれば、事前予約・抽選を経て無料で観覧できるステージ。『ME AND MY GIRL』『エリザベート』の代表曲など、タカラヅカや各国のさまざまな名曲を、元男役トップスター8名、元トップ娘役6名を含む31名が、現役さながらのダンスも織り交ぜながら届け、豪華なひとときを演出した。

シャインハット

舞台上には左右サイドに各3つ、中央に一つのLEDパネルが設置され、万国博覧会が行われた国々を巡るプログラムのなか、趣向を凝らした映像が次々と映し出される。その鮮やかな映像に負けないオーラをまとった出演者たちが、代わる代わるナンバーを披露。オープニングで新曲「未来へのOne Step!」を、キャストたちが歌い上げた後、タキシード姿の麻実れいさんが現れ、55年前の大阪万博開催時に上演の『タカラヅカEXPO’70』で初舞台を踏んだ当時の様子や、その後の宝塚歌劇の道のりなどを、映像とともに紹介。今回のステージの内容についても触れ、「では、ショータイム!」と明るい声で後輩のパフォーマンスへとつなげた。

麻実れい

“世界とタカラヅカ”をつづるプログラムの始まりは「ロンドン」。剣幸さんがトレンチコートを着こなし、『ME AND MY GIRL』より「街灯によりかかって」を軽やかに歌う。1994年に宝塚歌劇ロンドン公演に出演した安寿ミラさんや真琴つばささんたちは、『ミリオン・ドリームズ』の曲を当時の場面を再現しながら披露する。そして剣さん筆頭の「ランベス・ウォーク」では、大勢の出演者が客席降り。会場が一体となる盛り上がりに、手拍子がわき起こる。

麻路さき(中央)・大鳥れい・舞風りら ほか

続いては「パリ」。麻路さきさんが、羽根扇を手にした淑女たちに囲まれながら「サ・セ・パリ」を歌うと、一気にレビューの雰囲気に。さらに湖月わたるさんの格好いい「ピギャール」、姿月あさとさんが宝塚の名曲「夜霧のモンマルトル」を歌い上げるなか、湖月さんと舞風りらさんが情熱的なデュエットを見せるなど、ショーアップされたシーンに心躍る。

姿月あさと(右)・湖月わたる・舞風りら ほか

和央ようかさんが『ファントム』初演のオープニングを彷彿とさせるロングヘア&マント姿で現れ、「僕の悲劇を聞いてくれ」を激しいダンスとともに魅せる。

和央ようか(中央) ほか

さらに一路真輝さん、月影瞳さん、安寿ミラさん、真琴つばささんも、それぞれの個性に合ったパリにゆかりの名曲を聴かせた。

オペラハウスのような美しい映像をバックに始まったのが「ウィーン」。クラシカルなメロディとともに一路真輝さんが現れ、代表作『微笑みの国』より「君はわが心のすべて」を朗々と歌い上げて圧巻。一路さんは「宝塚歌劇とウィーンは深いつながりがあります」とコメントし、ウィーンミュージカルの大ヒット作『エリザベート』の曲へ。初代トートの一路さん、2代目トートの麻路さん、3代目トートの姿月さんが揃って「愛と死の輪舞」を歌うなど、豪華な共演が叶った。

一路真輝(中央)・麻路さき(右)・姿月あさと(左)

続く「ニューヨーク」のプログラムも、ジャズやブロードウェイ・ミュージカルの名曲を集めるなど、バラエティ豊か。真琴つばささんが熱唱し、安寿ミラさんがクールに踊る「FEVER」も素敵で、男役の粋なかっこよさや、娘役の艶やかさをOGたちが存分に届ける。

安寿ミラ(前)・真琴つばさ

さらに、全員揃っての極彩色のナンバー「ブラジル」から、最後は「日本」へとステージは展開。民謡メドレーでも盛り上がる。姿月さん・和央さん・湖月さんの「ソーラン節」、大鳥さん・舞風さん・舞羽さん・妃海さんの「お江戸日本橋」、月影さんの美声が響く「さくらさくら」など、聴きどころが満載。湖月さん中心のダンスナンバーも、大きな見せ場となっていた。

31名揃っての「TAKARAZUKA FOREVER」でクライマックスを迎えると、剣さんが今年111周年を迎えた宝塚歌劇団や、大阪・関西万博のコンセプトに触れながら挨拶し、最後に麻実れいさんを舞台上に迎え入れる。ドレススタイルで登場した麻実さんの美しさと存在感は格別で、柔らかな微笑みが眩しい。「素敵な仲間たちとご一緒できて幸せです」と麻実さんは喜びを伝え、全員で「すみれの花咲く頃」を歌って幕を閉じた。このステージでもし宝塚歌劇の文化に初めて触れる人がいれば、名曲づくしの歌の力と、華やかでパワフルなOGたちのオーラ、そしてレビューの世界に驚いたに違いない。本作は東京・大阪公演では楽曲やシーンが追加・変更され、2幕ものとしてボリュームアップするので楽しみに開幕を待とう!

元男役トップスター9名が揃い踏み

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[初日開幕に寄せてのコメント]
◆麻実れいさん
アジア、そして日本で初めて開催されました大阪万博、そして愛知万博、この大阪夢洲での万博と、三回の開催に少しでも携われましたこと、幸せに思います。初舞台から今に至るまでの55年間、私も舞台人生を歩んでまいりました。多くの方々に支えられ、多くの勉強をさせていただき素敵な青春期、壮年期を過す事が叶いました。そして皆様から頂いた今という“時”を大切に歩んで参りたいと願っています。

◆剣幸さん
55年前、胸はずませてパビリオンを見てまわっていた私が、今回その万博のステージに立つ…考えてもみなかったことに、今、心が躍っています。宝塚歌劇団も111周年。受け継がれてきた伝統は、万博のコンセプトと同じく、脈々と続いています。これから先も「いのち輝く未来」へ向かって、いのちの繋がりをたくさんの、そして様々な方々にご覧いただけますように。私たちは、宝塚が日本の文化の代表のひとつと信じ、誇りをもってこの公演に臨みます。

 

EXPO 2025『未来へのOne Step!~世界を結ぶ愛の歌声~』

大阪・関西万博公演/2025年4月29日(火・祝)~5月1日(木) 大阪・関西万博EXPOホール「シャインハット」

東京公演/2025年5月17日(土)〜20日(火) 東京国際フォーラム ホールC
大阪公演/2025年5月25日(日)〜27日(火) 梅田芸術劇場メインホール
※東京公演、大阪公演は大阪・関西万博公演とは一部異なるプログラムで上演

構成・演出:中村一徳(宝塚歌劇団)
出演:麻実れい(大阪・関西万博公演のみ)
剣幸 安寿ミラ 一路真輝 麻路さき 真琴つばさ 姿月あさと 和央ようか 湖月わたる
風花舞 月影瞳 大鳥れい 舞風りら 舞羽美海 妃海風
舞城のどか 真波そら 羽咲まな 光月るう 沙月愛奈 愛白もあ 七生眞希 颯希ゆうと
朝霧真 湊璃飛 希峰かなた 大原万由子 花宮沙羅 有栖妃華 涼花美雨 花束ゆめ

公式HP: https://www.umegei.com/onestep/

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