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Stage INTERVIEW

『十二国記 -月の影 影の海-』に主演の柚香 光。今後は「国境を越え、いろいろなものを飛び越えて――」

宝塚歌劇団で約5年間花組トップスターを務め、圧倒的人気を誇った柚香 光さん。2024年5月に退団後も柔軟な感性で幅広いステージに立ち、輝きを放っている。2025年12月~2026年2月にかけては、『十二国記 -月の影 影の海-』で、東宝ミュージカル初主演。小野不由美さんの大人気小説「十二国記」を初ミュージカル化した作品で、異世界に連れ去られる女子高生・中嶋陽子(ヨウコ)を演じる。本作にかける想い、退団後の活動やワールドワイドな視野についてなど、いろいろと伺った。
(撮影/望月研、取材・文/小野寺亜紀)

「ヨウコの成長に刺激を受け、勇気もいただいた」

――今年は『マチュー・ガニオ スペシャル・ガラ ニューイヤーコンサート』に始まり、劇団☆新感線の『紅鬼物語』、夏には『BURN THE FLOOR -COLOR MY HEART-』にご出演とご活躍で、多忙な日々だったと思います。『BURN――』の後はどのようにお過ごしでしたか?

次のお仕事に向けての準備期間にさせていただき、オフという時間はありがたいことにそんなになかったのですが、宝塚花組の舞台を観に行ったりしました。宝塚歌劇創立111周年記念式典にも出席し、久しぶりに宝塚の地に足を運べてとても嬉しかったです。

――今の花組をご覧になっていかがですか?

本当に美しい世界と言いますか、あらためて夢の世界だなと感じました。花組の一人ひとりがキラキラと輝き、いい笑顔をしていて、私もたくさんのことを学ばせていただきました。

――2025年最後に挑まれるのがミュージカル『十二国記 -月の影 影の海-』で、2026年の2月まで全国4都市で上演されます。

私が演じる中嶋陽子(ヨウコ)は平凡な女子高生ですが、ある日、異世界の地に連れて行かれます。異世界に着くと、陽子の姿が今までと全く変わっているという描写があり、そこから私がヨウコを演じさせていただきます。日本にいるときの陽子は加藤梨里香さんが演じられ、ふたりで同じ人物を作っていくのが今回の舞台の見どころのひとつです。

――原作はシリーズ累計1300万部(2025年1月時点)を突破する、小野不由美さんの大人気ファンタジー小説。台本を読まれてのご感想は?

試練や運命に対するヨウコの向かい方や、過去の自分の生き方に対する捉え方に、とても感銘を受けました。自分自身と闘いながら成長していく姿に、「私もそういう歩み方をしたい」と思ったのが最初の感想です。物語のはじめは女子高生らしい迷いや過ちがたくさん描かれています。そこにも共感しましたし、その後の彼女の歩み方が、私には懐かしく眩しいものがありました。彼女の言葉の端々から感じられる芯の強さや賢さを、私も学びたいです。

――「過去の自分の生き方」とのことですが、読みながらどんなことを思い出されたのでしょうか。

日本にいた頃の陽子は、人に嫌われるのが怖いという気持ちや、人に望まれる姿を演じる……ではないですが、本音で話さない、争いごとを避けるがゆえに自分というものを持たずにきた、というような描写があります。そんな陽子に対して「全然わからない」というより、むしろ共感する部分が多くありました。

――優等生の陽子が親やクラスメイトに対して気を遣っているところがありましたね。

そういう彼女が成長していく姿に感銘を受けます。さらに私は昨年宝塚歌劇団を卒業し、「成長しなければ」と思っているときに読ませていただいたので。自分自身成長したくても気づけば、「ここを直したい」と思ういつもの思考パターンや、行動パターンに陥ってしまい、もがいて右往左往して……。そんなときにヨウコの成長していく姿を目の当たりにし、「自分の弱さを認めて前に進むって、こういうことだ!」と思いました。私がもしヨウコの立場だったら、彼女のような言葉は出てこないと思うことがあったので、そういう意味でもヨウコの成長に刺激を受け、勇気をいただきました。

――では、タイミング的にもこの作品に出合えてよかったと。

今この時期に、この作品に出合わせていただき、そしてヨウコを演じさせていただけることは、大変ありがたいことです。本を読むだけでもいろいろなことを感じたので(※取材時は本稽古の開始前)、これからお稽古に励むなかでどういう感覚になるのか。ヨウコは何を思い、どんな思いで発言をし、どんな思いで踏み出していくのかを日々考えながら、本名の自分としても多くのことを学んでいきたいです。

「柚香は柚香だと思いつつ、もっともっと自分を知りたい」

――柚香さんは昨年5月に宝塚歌劇団を退団後も充実した舞台を届けられていますが、そんななかでご自身に課題を感じることもありますか?

課題はモリモリ、モリモリだくさんです(笑)。技術的なこともそうですし、先ほど申し上げた思考的なパターンも、仕事に対する自分の姿勢も「もっとこうしたい」という思いが溢れてきます。お客様への想いも膨らんでいくので、それをどうすれば皆さまにお伝えできるのか。頂いているご恩にどのようにお返しできるのか、という思いも募ります。あと、一緒にお仕事させていただくスタッフの皆さまのお力や経験によって、何を頂き、何をさせていただいているのかをもっと理解したうえで、お仕事をしていかなければとも思います。わかっていないことがたくさんあるので、もっともっと知らなければいけないなと、何度も思う1年でした。

――そうなのですね。今回の作品においては歌も大きな挑戦でしょうか。

東宝ミュージカルということで、素晴らしい旋律、リズム、躍動感……いろいろなものが詰まっている迫力のある音楽で溢れています。全部で約30曲あり、私はソロナンバーから皆さんと歌う大ナンバーを含め、15曲ほど歌わせていただきます。お客様が物語の世界観に存分に没頭し、楽曲の素晴らしさを全身で感じていただけるよう、全力でお稽古に励みたいです。

――また大きな扉を開かれるのを楽しみにしています。退団後の活動を拝見していると、ワールドワイドなことも視野に入れられているのかなと感じるのですが、もし思い描いている夢があれば教えてください。

まずは柚香 光という人物をもっと確立し、自分の個性を知って、磨いていきたいという思いがあります。そのうえでやはり国境を越え、いろいろなものを飛び越え、エンターテインメントを通じたコミュニケーションを広げていきたいです。お客様と一緒にいろいろな世界を知りながら、体験していきたいです。

――今、ご自身の個性はどのように見えていますか?

私は思っていた以上に自分のことを知らなかったのではないか、と感じることがあります。ヨウコの言葉に「私は私だ」というのがあるのですけれど、「自分は自分だ。柚香は柚香だ」と思いつつ、もっともっと自分のことを知らなければいけない、知りたい!と今思っています。

 

ミュージカル『十二国記 -月の影 影の海-』

 

東京公演/2025年12月9日(火)~12月29日(月) 日生劇場
福岡公演/2026年1月6日(火)~1月11日(日) 博多座
大阪公演/2026年1月17(土)~1月20日(火) 梅田芸術劇場メインホール
愛知公演/2026年1月28日(水)~2月1日(日) 御園座

原作:小野不由美『月の影 影の海 十二国記』(新潮文庫刊)
脚本・歌詞:元吉庸泰
音楽:深澤恵梨香
演出:山田和也
出演:柚香 光 加藤梨里香
太田基裕・牧島 輝(Wキャスト) 玉城裕規  原田真絢 章平 相葉裕樹 ほか

公式HP https://www.tohostage.com/12kokuki/

 

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