「宏規の身体に千秋が入ってる感じ。本人が出しているエネルギーが素晴らしい!」(竹中)
「お二人がいることの安心感と感謝の気持ちを持って、どこまでもついていきます!」(三浦)
――ミュージカル版の思い出を聞かせてください。
竹中 宏規は最初、千秋を演じることにすごくプレッシャーを感じていたけれど、日に日に千秋になっていく感じ、その過程を見られたことがとても印象に残っています。最初は悩んだと思います。でも幕が開くと役が宏規のものになっていた。そして回を重ねるごとに宏規の千秋が見事に出来上がった。
――本番が始まってからより深まっていったんですね。
竹中 宏規の身体に千秋が入ってる感じです。宏規本人が出しているエネルギーが素晴らしい。稽古場で生まれるものってたかが知れていて、舞台に観客が入ってから、お客さんのエネルギーによって、役が大きく変化していく。映画やドラマと違ってお客さんと共に作っていくものだと思います。日を重ね、ステージを重ねながら、ちゃんと緊張感を持って千秋を演じている宏規がとても素敵でした。
三浦 ありがとうございます! 本当に勿体無いお言葉です。僕は、鍛えられたなと思います。主に、竹中さんに。
竹中 え? やめて(笑)。誤解を生むじゃん(笑)。「その芝居違う」とか言ったみたいじゃん(笑)。
三浦 そういうわけではなく(笑)。竹中さんは舞台上で最も自由な俳優で、その自由さって圧倒的な芝居のうまさに裏打ちされた自由さなんです。それがとても魅力的だったんですが、一方でその自由な芝居を、僕は千秋として受けないといけない。毎回芝居が違うんですよ(笑)。それを、全部千秋として打ち返さないといけないので、そのライブ感ってなかなか経験できることじゃないですし、そういう意味で鍛えられたなあと思います。
――それはアドリブ的なことですか?
三浦 アドリブもありました。転科届を破られる場面とか。
竹中 あー、あったあった(笑)。懐かしいね。
三浦 いつ終わるんだろうな、このセリフって時も(笑)。本当にその場でミルヒー(シュトレーゼマン)が生きているんですよ。アドリブっていってもいろんなスタイルがあるんですが、竹中さんのアドリブは、狙ってやっているような「ここ、アドリブどころです!」ってことじゃないんです。ただ普通に3時間通してミルヒーがそこにいる。生きている。だから毎日がアドリブ。そんな感じでした。
なので、コンサートでまたご一緒できると知った時には、本当にうれしかったです。再会が楽しみでした。僕を含め、若手は全員とても良くしていただいたんです。地方に行った時には食事にも連れていっていただいたり。長野の焼肉屋さんを覚えてますか?
竹中 行ったね。
三浦 食事会の終盤に竹中さんが「俺はお前らといるから、これが聴きたいんだ」っておっしゃって「若者のすべて」って曲をかけたんですよ。それで僕はその曲が大好きになりました。今でも聴いているお気に入りの曲です。
―― 竹中さんは三浦さんに久しぶりに会っていかがでしたか?
竹中 思わず抱きしめましたよ。「元気?」って言いながら。
――撮影中、お二人がとても仲のいい様子が伺えましたが、ジェネレーションギャップ的なことを感じたことは?
竹中 僕は人を年齢では見れないんです。年齢とか関係ないしね。でもそんなに差があるの? 僕はもうじき70歳になるんだけど。
三浦 僕は26です。
竹中 43歳差。なんてこった! でも宏規はカッコつけないから心を許せるんです。舞台に立っている姿はとてもチャーミング!僕は、お客さんよりも、一緒に舞台に立っている人を笑わせたいんだよね。
三浦 コメディアン気質(笑)。
竹中 それで、宏規が素直に笑ってくれるのがうれしくて、今回も「(笑わせて)ボロボロにしてやる!」という意識が働くと思います。もう大変なことになりますよ!コンサートを台無しにしてしまうくらいの気持ちでやってやる!うおー!!(笑)。
三浦 勘弁してください(笑)。でも僕も、竹中さんはすごく接しやすくて、信じられないくらいです。だって「あの竹中さん」ですよ。テレビでずっと見ていた人が、僕みたいな若手一人一人に話しかけてくださるんです。
竹中 やめてください(笑)。
三浦 ちゃんと僕ら若手のこともリスペクトしてくださる。飾らないけど、カッコいい。すごく話しかけやすくて、だからお芝居もやりやすい。躊躇せずに突っ込んでいけるのは、そのお人柄のおかげなんです。同じ作品を一か月やると、すごい絆が生まれるんですよ。竹中さんと、もちろんほかの皆さんとも一か月一緒に過ごせたことは、本当に貴重な財産だったと思っています。
――久しぶりの共演を前に、お互いにこれだけは伝えたいことは?
竹中 ないない。ないよー。「あの時の芝居さ、今だから言うけどさ」「あの、初日が開いて4回目の宏規の芝居?俺、あそこ全然納得してないから」みたいなのはないないそんなの全くない(笑)。
三浦 言われてみたいですけどね(笑)。
竹中 言わないよそんな事!
三浦 怖いけど尊敬しちゃう。そんなところを見ててくださったんだって。
竹中 そんなのヤダヤダ。これからまたお芝居を作っていくことが楽しみだからね。「よろしくね!やさしくしてね!」って気持ちしかないよ。
三浦 お手柔らかにお願いします。今回はお手柔らかに(笑)。
竹中 歌えなくなっちゃったら大変だからね。
三浦 歌わしてください(笑)。笑っちゃうんで、すぐ。
――コンサートで楽しみにしていることはなんですか?
竹中 それはなんていったってフルオーケストラで歌うことです。そして東京フィルハーモニーの皆さんの指揮をすることですね。僕もちょっとは振るけど、宏規が振ってるところを袖からじーっと見つめるのが楽しみ。こっちを見ろ。こっちを見ろ。と念じながら見つめてやるよ。
三浦 なんで?(笑)。竹中さんのほうを見てどうするんですか(笑)。
竹中 ちょっとしたサービス精神ってやつさ(笑)。
三浦 僕もフルオケは楽しみです。歌はもちろん、芝居もダンスもあって、すごいクリエイティブの方々も集まっていますし、キャストもすごい方ばかりなので、きっと素晴らしいコンサートになっていると思います。
竹中 今回は台湾と東京で上演するけれど、この先韓国に行ったり、アラスカに行ったり、アフリカに行ったり、そして最後はプラハのスメタナホールでやれたらすごいよね。
三浦 いいですね! この作品はミュージカルになる前から、(上野)樹里さんや竹中さんが実写で十何年も前から出演されていて、僕は、作品への愛も理解もお二人には遥かに及ばないと思うんです。でも温かく迎え入れてくださった。お二人がいることの安心感と、感謝の気持ちを持って、どこまでもついていきます!
――世代を超えた熱い友情を感じます! 竹中さんは、26歳の頃はどんな方でしたか?
竹中 劇団にいましたね。目立つ事をやると先輩に怒られていました。僕が毎日違う芝居をするので「なんで昨日は右に動いて、今日は左に動くんだ」ってよく怒られていました。芝居って日々変化していくものだと思っていたので、段取りになってしまうのが嫌だった。だから、突然こうしたらどう変わるだろうとやってたんだけど、怒られちゃって萎縮してました。それで「俺はこのままじゃダメだ」と思って、自分で売り込み活動を始めていつの間にか世の中に出てしまった。忘れもしない27歳の夏です。だから26歳のぼくは、とても悩んでた頃です。どう生きていけばいいのかわからなくて、彼女の胸でよく泣いていました。
三浦 何かの歌詞みたいです。「彼女の胸で泣いていました」って、すごい言葉だ。
――三浦さんは69歳になった時、どうなっていたいですか?
三浦 竹中さんみたいになりたい。年齢を感じさせない、フランクに話ができる、すごいエネルギーを持った人。自由な人間になっていたいです!
ミュージカル『のだめカンタービレ』シンフォニックコンサート!
2025年9月13日~15日 東京ガーデンシアター
原作:二ノ宮知子「のだめカンタービレ」(講談社「Kiss」所載)
作詞・脚本・演出:上田一豪
音楽:和田 唱
クラシック音楽監修・指揮指導:茂木大輔
出演:上野樹里 三浦宏規
松島勇之介/有澤樟太郎/高橋健介 (日替出演)
華優希/清水美依紗 (日替出演)
大久保祥太郎 竹内將人 なだぎ武 /竹中直人 ほか
ゲストピアニスト:石井琢磨(東京公演のみ)
https://www.tohostage.com/nodame-concert/