総合エンタメ・マガジン[エンタプレス]

「いかに自分の中で真実としてお届けできるか」

――海宝さんは公式プロフィールの趣味の欄に「マジック」を挙げられていますが、昔から興味があったのですか?

中学・高校ぐらいにマジックブームがあり、一時期すごくハマっていました。今でも好きなのは変わらないです。当時はテレビで放送されているマジックを必ず録画し、コマ送りで見ながら「どうなっているのだろう」と分析し、自分でもやってみる、ということをしていました。最近は全然できていないのですが……。

――今回イリュージョンも大きな見せ場になると伺いました。

イリュージョン監修の方が入ってくださっていて、トムさんからもそこはこだわって演出すると聞いています。ミュージカルとイリュージョンの融合が僕自身楽しみですし、お客様にとっても今まで観たことがないような舞台になると思います。

――イリュージョニストは人を欺くのがエンターテインメントとして成り立つ、ユニークなお仕事ですよね。

そうですね。演劇も、芝居や演技はある種“嘘”ではあります。でもそれをいかに自分の中で真実としてお客様にお届けできるか。起きている事象が真実だと思っているからこそ、お客様も真実だと感じられるのだろうなと思います。

舞台『ファンレター』でご一緒した演出家の栗山民也さんが、「演じている自分が発した声のトーンなど、どこかで『これ、嘘だな』と思った瞬間に、お客様も嘘だと感じている」と仰って。本当にその通りで、演じている自分が真実だと信じきれるか、というところが大切だと思います。

――前回の公演から4年の間に多くの作品に出演され、いろいろな出会いがあるなかで、やはりご自身の変化を感じますか?

そうですね。変化と言えば、実は『イリュージョニスト』の初演が、自分の中では大きな転機になりました。海外のクリエイターの皆さんと一緒に世界初演の作品に携わり、リモートではありましたが、脚本家のピーターさんが「じゃあ、このアイデアどうかな?」など仰って、その場で創っていけるというのは、基本的に脚本も演出も振付も決まっている(既存の)海外作品では経験できない大きなものでした。

――刺激的な創作の場だったのですね。

役者陣も本当に百戦錬磨の方ばかり。演劇的な観点や意見を発信される皆さんの姿勢に触れ、自分自身もクリエイターとして、様々な経験の中で「感覚としてこうした方がいいのでは」と思うところをどんどんアウトプットしていきました。そういう役者としての責任感を、より強く感じるようになった時間でした。

――再演がますます楽しみです。今、この4年のメンタルの変化をお話ししてくださいましたが、フィジカル面での変化はありますか?

この仕事をしていると役によっていろいろと変わらなきゃいけないので、筋肉の増減など調整をしています。年齢を重ねると、よりそれが大変になっていく予感はあるので、基礎的な体力をつけていかなければとは思っています。

――戦場へ赴くサミーを演じられた『アリージャンス~忠誠~』(2021年)のときは、体格が少し大きくなられたような印象もありました。

あのときはとにかく食べていました。ここ1年ぐらいは、『この世界の片隅に』や『ファンレター』に出演していたので、結構しっかり減量しました。見た目が変わらないと意味がないので、体重はあまりはからずビジュアルを重視し、食事制限をして。やはり作品中の生活をしている人の身体になりたいと思っています。

――そういう面で、アイゼンハイムのイメージは何かありますか?

自分をプロデュースする能力に長けているので、基本的に節制している人だろうなと思います。

――海宝さんは2025年、30周年を迎えられますね。今後かなえたい夢や、演じてみたい役などがあればぜひ教えてください。

ずっと大きな夢として持っているのは、日本で創られた作品が海外へと大きく育っていく形です。もちろん海外の作品に出演するのも素晴らしいことですが、新しいチャレンジをし、それが広い世界で通用する作品になればいいなと。そういうところに身を置く機会がどんどん増えていったらいいな、と思います。

――素晴らしい歌唱力も海宝さんの大きな魅力だと思いますが、歌の面ではいかがですか?

“表現”は永遠に完成するものではないと思うので、いかに演劇として歌を語っていけるか、ということは生涯追求したいです。ボイストレーニングも続け、40周年も、これから先もずっと歌っていたいです。

 

ミュージカル『イリュージョニスト』

東京公演/2025年3月11日(火)~3月29日(土) 日生劇場
大阪公演/2025年4月8日(火)~4月20日(日) 梅田芸術劇場メインホール

脚本:ピーター・ドゥシャン
作詞・作曲:マイケル・ブルース
原作:ヤーリ・フィルム・グループ制作映画「幻影師アイゼンハイム」
スティーヴン・ミルハウザー作「幻影師、アイゼンハイム」
演出:トム・サザーランド
出演:海宝直人 成河 愛希れいか
栗原英雄/濱田めぐみ ほか

公式HP:http://illusionist-musical.jp/

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あのときの感動を、お手元に。
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