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昭和から令和へ! 宝塚歌劇『ベルサイユのばら』50周年を記念した豪華ステージ 『ベルサイユのばら50 ~半世紀の軌跡~』観劇レポート

宝塚歌劇の名作『ベルサイユのばら』が、今年初演より50年目を迎え、歴代のレジェンドたちが集う『ベルサイユのばら50 ~半世紀の軌跡~』を開催。5月14日~19日に梅田芸術劇場メインホール、5月26日~6月9日に東京建物Brillia HALL、6月14日~16日に御園座で公演が行われる。日替わりのキャストにより、様々な組み合わせで繰り広げられる豪華なステージ。その大阪公演の模様を届けよう。
(取材・文/小野寺亜紀、撮影/田浦ボン、写真提供/梅田芸術劇場 ※6/9舞台写真追加!

池田理代子さんの長編漫画を原作に、1974年宝塚歌劇団月組で初演され、一大ブームを巻き起こした『ベルサイユのばら』。累計観客動員数は500万人。革命に揺れ動く18世紀のフランスを舞台に、マリー・アントワネット、フェルゼン、オスカル、アンドレなど、魅力的なキャラクターに命が吹き込まれ、様々なバージョンの舞台が誕生した。この大ヒット作は昭和から平成へと受け継がれ、今年、令和初の『ベルサイユのばら』が雪組で上演される。その出演者たちも足を運んだ記念碑的なステージをレポート。(※以下、ネタばれあり)

タイトルが描かれたロココ調のセットの前で小公女たちが「ごらんなさ~い」と歌い、軍服姿の元男役スターたち(筆者が観劇した日は、緒月遠麻さん・彩凪翔さん・愛月ひかるさんの3人)が華やかに届けるプロローグ。ミラーボールの光が場内に煌めき、“ベルばら”の世界へといざなってゆく。

続いてスクリーンが降りてくると、初演シリーズを彩ったスターたちの当時の名演が大きく映し出される。舞台に現れたのは未沙のえるさん。体調不良により休演した宝塚歌劇団・専科の汝鳥 伶さんに代わりMCを務め、作品について解説する。自身も初演に出演していたと話す未沙さんが、「伝説のメンバーの登場です!」と紹介。

初演メンバー :麻実れい、鳳 蘭、榛名由梨、安奈 淳

まず麻実れいさんが台詞入りで「心のひとオスカル」を披露。続いて安奈 淳さんが麗しく「愛の巡礼」を、鳳 蘭さんが躍動感たっぷりに「駆けろペガサスの如く」を、そして華やかな衣装に身を包んだ榛名由梨さんが「白ばらのひと」を歌い上げる。初演シリーズの熱狂を生み出したレジェンドスター4人が顔を揃え、脚本・演出家の植田紳爾さんも加わってのスペシャルトークがこの回は行われた。

植田さんは、「これだけのメンバーが集まってくれたのが嬉しい。50年続けてこられたのは、お客様お一人お一人が支えてくださったおかげです」と感謝の言葉。初演でオスカル、次の花組公演ではアンドレを演じた榛名さんが、「アンドレをやっていなかったら、(レット・)バトラーもできなかったと思う」と話すと、客席から「オー」と共感を示すような声が湧く。さらに「(初演シリーズの)最後にツレちゃん(鳳)がバーンとゴールを決め、金メダルをもらったよう」と榛名さんが振り返り、当時の興味深い話が尽きない4人。最後に並んで「愛あればこそ」を歌うと貫禄のオーラが溢れ、大きな拍手が送られた。

そんな初演メンバーの舞台を観て宝塚に憧れた“ベルばら第2世代”や“第3世代”が次に登場。元トップスターたちによる名曲の披露では、湖月わたるさんの「アン・ドゥ・トロワ」、麻路さきさんの「ばらのスーベニール」、一路真輝さんの「人は皆幸せに」、涼風真世さんの「我が名はオスカル」、安寿ミラさんの「ばらベルサイユ」、紫苑ゆうさんの「結ばれぬ愛」、日向薫さんの「男の旅立ち」が順に届けられた。それぞれ新たな魅力が増した想いのこもる熱唱。

この平成の再演メンバーのトークも大いに盛り上がる。1989年にフェルゼンを堂々と演じた日向さんは、「初演ではバラの少女を演じていました!」。トップお披露目公演でオスカルを演じた涼風さんは、他組のトップスター3人を含む4人のアンドレ役を相手に、「とても幸せでした」。NY公演から帰国後すぐ『ベルサイユのばら』出演が決まっていた安寿さんに、紫苑さんは「NYで一緒にバスティーユの(場面の)練習をしたね!」など、思い出は尽きず、様々な“ベルばら”伝説が舞台裏でも生まれていたのを実感する。

そして第1部の後半から2幕にかけては、出演者が扮装&メイクをしての、本番さながらの「ダイジェストシーン」。この日、階段の上に煌びやかに登場した凰稀かなめさんのオスカルと、緒月遠麻さんのアンドレ。さらに和央ようかさんのフェルゼン、星奈優里さんのマリー・アントワネットが華麗に歌う。衣装の着こなし、佇まいなど隅々まで“ベルばら”を再現する宝塚OGの気合いと実力に、この後もずっと驚かされる。

名シーンをピックアップした構成なのに、登場する衛兵隊員や市民まで、しっかりお芝居として見せていく力量。セットもオスカルの居間やバスティーユのシーンなど臨場感たっぷりで、年月のブランクを感じさせないパワフルなダンスも。一度“ベルばら”の世界に入り込めば、みな魂までその役になり切ったかのような熱演。生演奏で奏でられる名曲、名台詞に、すっかり一本の“ベルばら”を観たような充足感に満たされた。

ダイジェストシーンが終わると、次は「フィナーレ」のスペシャル総集編といった趣。現役のタカラジェンヌと見まごうほどに格好いい、彩凪翔さん・愛月ひかるさんの「ばらベルサイユ」。続いて、紫苑ゆうさんがときに娘役OGに温かい目線を送りながらたっぷりと歌い上げる「愛の柩」。ピンク色の衣装で、甘く軽やかに「パリ・ジュテーム」を歌う龍真咲さん。やはりフィナーレの華やかさが宝塚の“ベルばら”には鉄則だと感じ入る。

まだまだ続く名場面のオンパレード。安寿ミラさんは、大浦みずきさん主演のフェルゼン編で誕生したフェルゼンとオスカルのデュエット「小雨降る径」を、ソロで歌い踊る。まるでそこに、大浦さんがいるかのようなスピリットを感じた。凰稀かなめさんは、自身が主演のオスカル編フィナーレで披露した、斬新な「バラのタンゴ」を踊り切る。そして湖月わたるさんと星奈優里さんが静かに踊り始める「ボレロ」は、愛がもたらす緊迫感と、二人の変わらぬ高いダンス力に、拍手がしばらく鳴りやまなかった。

「バラのタンゴ」中央:凰稀かなめ

「ボレロ」湖月わたると星奈優里

再びスクリーンが登場、“ベルばら”50年の歴史を創り上げてきた今は亡きスタッフや出演者の姿が映し出されるなか、“オマージュの歌手”の涼風真世さんが、「『ベルサイユのばら』に関わってくださった全ての皆様にこの曲を捧げます」と、「宝塚我が心の故郷」を深みのある歌声で届ける。この曲は、2001年宙組公演で誕生した故・羽山紀代美さん振付の名シーン「オマージュ」の曲でもあり、まさにその公演と同じく、黒燕尾姿の和央ようかさんを筆頭に、男役OGたちが群舞を披露。

「オマージュ」中央:和央ようか

その感動の余韻のままパレードへ。最下級生で出演の花束ゆめさんが、見事なエトワール歌唱を聴かせる。そしてキャスト揃っての「愛あればこそ」で華やかに終演。カーテンコールで榛名さんが、「今日は皆さん幸せでしたよね?」と観客に問いかけると、スタンディングオベーションの客席がドッと沸いた。

東京公演からは現役生の専科・凪七瑠海さんと水美舞斗さんも特別出演し、ますます盛り上がるはず。キャストやナンバーは公演回によって変わるので、詳しくは公演フライヤーやプログラムなどを参照して。

『ベルサイユのばら50 ~半世紀の軌跡~』

大阪公演/2024年5月14日(火)~5月19日(日) 梅田芸術劇場メインホール
東京公演/2024年5月26日(日)~6月9日(日) 東京建物Brillia HALL
愛知公演/2024年6月14日(金)~16日(日) 御園座

監修:植田紳爾
構成・演出:谷 正純
音楽監督:𠮷田優子

出演:
初風 諄 榛名由梨 鳳 蘭 安奈 淳 麻実れい 日向 薫 紫苑ゆう 安寿ミラ 涼風真世
一路真輝 麻路さき 稔 幸 香寿たつき 和央ようか 湖月わたる 星奈優里
彩輝なお 朝海ひかる 水 夏希 白羽ゆり 凰稀かなめ 龍 真咲 朝夏まなと
緒月遠麻 七海ひろき 彩凪 翔 愛月ひかる
特別出演:(宝塚歌劇団 専科)汝鳥 伶 凪七瑠海 水美舞斗
※汝鳥 伶が体調不良で休演のため、未沙のえるが出演
舞城のどか 真波そら 羽咲まな 光月るう 沙月愛奈 蓮城まこと 光海舞人
笙乃茅桜 美月 悠 煌海ルイセ 実羚 淳 晴音アキ 七生眞希 颯希ゆうと 彩月つくし
留依まきせ 彩波けいと 朱紫令真 涼花美雨 花束ゆめ

公式HP: https://www.umegei.com/versailles50/

◆ライブ配信実施
2024年5月18日(土)17:00公演  梅田芸術劇場メインホール ※終了
2024年6月 9 日(日)12:00公演 東京建物Brillia HALL
※アーカイブ配信はなし
詳細は下記参照。
https://www.umegei.com/versailles50/special.html#live

 

あのときの感動を、お手元に。
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京本大我 舞台掲載号

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