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「レイチェルの最後の独白として捉えていただければ成功」

――新妻さんにとって初めての洋楽のアルバムが、映画『ボディガード』のサントラだったそうですね。

はい。映画公開時の1992年、父の仕事の関係でタイのバンコクに住んでいたのですが、英語の勉強をしないといけない私に親が買ってくれました。その一年はタイの街なかでもずっと「エンダー♪」(「I Will Always Love You」)が流れていて。3歳年上の姉と一緒にこのアルバムを聴き込み、大好きでした。

――舞台ではその「I Will Always Love You」を日本語も交えて歌ってらっしゃいますが、特に気をつけていること、大切にしていることはありますか?

 

『ボディガード』が日本語のミュージカルになると決まったとき、皆さん「エンダー(の歌詞)はどうなるの?」と思われたはず。「あなた~♪」になるのか、「そして~♪」になるのかと(笑)。初演では訳詞の森雪之丞さんを筆頭にみんなで会議を重ね、「エンダーはエンダーだよね」と落ち着きました。耳馴染みのあるフレーズは変えず、でも英語でフワッとしていた部分は日本語で意味がしっかり入ってくる、“ハイブリッド和訳”になっていると思います。

この曲は2時間強、お芝居をご覧いただいた後に出てくるので、お客様にレイチェルの最後の独白として捉えていただければ成功だと考えています。歌ううえで気をつけているというか、最も背筋が伸びるのは、無音になってからの「ドン! エンダー♪」の部分。あそこは絶対しくじってはいけない。ホームランをいつも打てるように、整えて舞台に上がっています。

――やはり『ボディガード』と言えば、ホイットニー・ヒューストンさんの存在が大きいと思いますが、役を演じるうえでホイットニーさんとの距離感など意識されたことは?

ホイットニー・ヒューストンさんをモデルに作られた映画であることは疑いの余地がないのですが、とはいえレイチェル・マロンという別人格なので、割り切って役作りはしています。ただこの『ボディガード』という作品そのものが、私はホイットニーへのラブレターだと思っているんですね。「We love you,Whitney」という全世界からのメッセージ。「あなたを忘れることなんてできない」と。でも彼女はもうこの世にいないから、このミュージカルが生まれ、ステージに戻ってきた。やっぱり世界の音楽史に燦然と輝く宝物です。私も、そしてMayちゃんもホイットニーさんが大好きなんですね。そんないろんな人の“ホイットニー大好き”の想いを乗せて、世界中で上演が続いている作品だと思っています。

――レイチェル・マロン役とご自身が重なるところ、共感するところは?

生の舞台に挑むときの気持ちや姿勢です。彼女がこなすステージと私がこなすステージでは、規模の違いはありますが、その日のライブステージに誠意をもって挑むという点では非常に共感します。舞台に上がるうえでの不安や恐れがありつつ、その先にある美しいものを彼女は知っているんですよね。あと、私にも年上の姉がいて、二人とも歌が好きというのが重なります。レイチェルも最初はただただ歌うことが好きだったのが、ビジネスが大きくなってしまい、溝が生まれたと思うのですが、そのスタート地点の「歌が好き」という部分で繋がっている気がします。

ミュージカル『ボディガード』日本キャスト版

東京公演/2024年2月18日(日)~3月3日(日) 東急シアターオーブ
山形公演/2024年3月9日(土)・10日(日) やまぎん県民ホール
大阪公演/2024年3月30日(土)~4月7日(日) 梅田芸術劇場メインホール

原作:ローレンス・カスダン ワーナー・ブラザース映画「The Bodyguard/ボディガード」
脚本:アレクサンダー・ディネラリス
演出・振付:ジョシュア・ベルガッセ
出演:新妻聖子・May J.(Wキャスト) 大谷亮平
AKANE LIV 水田航生 加藤潤一 大久保祥太郎/内場勝則
青山航士 他

公式HP  https://bodyguardmusical.jp/

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