若手歌舞伎俳優の登竜門と言われる『新春浅草歌舞伎』。若手花形俳優たちが切磋琢磨する姿を見守れるとあって、歌舞伎愛好家の間では人気の公演の一つです。
2015年に出演者が一新し、尾上松也が中心となってからはや10年。松也を筆頭に、一緒に盛り上げてきた中村歌昇、坂東巳之助、坂東新悟、中村種之助、中村米吉、中村隼人の７名が、今回を最後に後輩にバトンタッチ。この７名の卒業メンバーと、中村橋之助、中村莟玉の若手俳優陣により、華やかな舞台が繰り広げられます。
卒業メンバーにこの10年で一番思い出深い公演を訪ねると、皆一様に「自分たちがまかされた最初の公演」と言い、特に松也は、「ちょうど自分の環境が大きく変わりだした時期で、自分が中心となって任せていただける嬉しさと同時に、不安と恐怖といろんな思いが混ざっていました。ここにいるみなさんが一緒に盛り上げていきましょうと言ってくれたのが強く心強かったのを覚えています。ワンチームとしてよくしていこうという気持ちが固まりました」としみじみと語りました。
歌昇は「舞台稽古のときに、吉右衛門の叔父様に客席で顔をやっていただいたのが印象深い」と話し、巳之助は「最初の年はものすごい宣伝活動で、大量のバラエティ番組に出たのは後にも先にもあのときぐらい。みんなで不安と闘いながら精いっぱい盛り上げようと頑張っていました」と笑顔で振り返ってくれました。
恒例の「お年玉＜年始ご挨拶＞」も４年振りに復活します。第一部も第二部も、最後の演目は全員出演の豪華版。彼らが「浅草」にかけてきた想いの集大成となる本公演。歌舞伎界の次代を担う若手俳優たちが大役に挑む姿を、ぜひ目に焼き付けてください。
『新春浅草歌舞伎2024』
2024年1月2日～26日 浅草公会堂
第一部 『本朝廿四孝 十種香』『与話情浮名横櫛 源氏店』『神楽諷雲井曲毬 どんつく』
第二部 『一谷嫩軍記 熊谷陣屋』『流星』『新皿屋舗月雨暈 魚屋宗五郎』
尾上松也、中村歌昇、坂東巳之助、坂東新悟、中村種之助、中村米吉、中村隼人、中村橋之助、中村莟玉
中村歌六 市村橘太郎、中村吉之丞、中村歌女之丞