エンタプレスでは、キャスト3人にインタビュー。第二回は、祭シリーズ常連!内藤大希さんにご登場いただきます。(取材・文 臼井祥子)
「祭シリーズは生存能力が試される舞台(笑)」
――内藤さんは祭シリーズに出演されるのが、今回で5回目ですね。これまでの思い出を語っていただきたいのですが。
最初に出たのは2017年の『ゆく年く・る年冬の陣 師走明治座時代劇祭』。『レ・ミゼラブル』が終わった次の作品で、年末に出演させていただきました。共演者にタッキー(滝口幸広)とか、まさし(大山真志)とか、経験者がいたので、どういう感じかなって聞いたら「楽しいよ」って。出演したら、本当にお祭りみたいな感じでした。さと兄(佐藤貴史)とか加藤啓さんに出会ったカルチャーショックを今でも覚えています。
僕はその時すでに結構いろんな舞台に出ていましたけど、それまで会ったことのなかった人たちがいて、みなさん、演出の板垣(恭一)さんに託されてるんですよ。何をやっても自分たちで回収できるから、任されてる。パワーがあって、カッコよくて、面白い。それ以来、僕はさと兄みたいになりたいって憧れています。
例えば「歌が武器」とかってわかりやすいじゃないですか。でもそうじゃなくて、さと兄たちは、演劇が武器。キレのいい言葉を絶妙なテンポ感で繰り出して、お客様を掌握していく。特に練ったものじゃなくて、パッと言った一言がめちゃくちゃ面白い。すごいなって思った。そこから一個目標ができたんです。僕は佐藤貴史になりたい。さと兄には「お前変わってるな」って言われながら、かわいがっていただいているんですけど、言わないだけで僕ら世代にはさと兄みたいになりたい、加藤啓さんみたいに演じたいって思ってる俳優が多いと思いますよ。
――それくらいお祭りを楽しまれたのですね。
あ、でも、お祭りではなかったです。戦場でした。さと兄と加藤啓さんが、蹂躙していく、降参してるのに(笑)! それくらい強烈だったんですよ。僕はその時は後方支援的な存在で、作品を盛り上げるアシストをする役割だったのですが、出ているうちに自分が点を取りに行かなければいけないんだと思うようになりました。さと兄が取れない点の取り方で点を取らなければいけない。そういう生存能力が試される舞台(笑)。
で、そこでさと兄がやったことを見て、それをほかの現場で試してみるんです。「これって僕がやっても面白いんだ」と気づいたりして。少しずつ自分に引き寄せた感じでバージョンアップさせて、アウトプットしていって、それをまた年末の明治座に持って帰る。「僕、これ収穫できました!」って。
そういうふうに僕が憧れているように、加藤啓さんに憧れてその伝統を継承しているのが、松田岳です。インスパイアされて、自分の形にして「僕はこれです」って提示しています。加藤啓さんの新しい形がハイブリッドな松田岳。彼はイケメンでありながら小劇場のスパイスを継承しています。
――聞けば聞くほどすごい舞台ですね! (次ページにつづく)
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