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Stage INTERVIEW

心理サスペンス『TRIANGLE』主演の内藤大希がじっくり語る

新感覚リモート演劇公演『TRIANGLE』が2月に上演される。伊藤裕一が脚本・演出を務める濃密な心理サスペンスだ。穏やかな仮面の裏で、秘密を持ち続ける売れっ子作家・上川大也。上川にリモートインタビューを行い、その正体を暴いていくライターの山口弓。上川と共に暮らす謎多き少年・夕女。登場人物3人だけの会話劇に主演するのはミュージカルでその名を知られる内藤大希。歌を封印しストレートプレイに挑戦する内藤に、今の心境と、これまでの俳優として歩みを聞いた。(撮影・取材・文/臼井祥子 ヘアメイク/武井優子 スタイリスト/中村剛(ハレテル))

「甘えが封印された場所でどこまでできるのか勝負したい」

――内藤さんは子役時代にデビューされていますが、当時のことを教えてください。

最初は子ども劇団に入ってCMに出たりしてたんです。そこのレッスンでタップダンスがあって、その先生がアルゴミュージカルを紹介してくれました。アルゴミュージカルで育三郎くん(山崎育三郎)や真志(大山真志)に出会ったり、ジャズダンスやヒップホップに出会ったり、初舞台も踏みました。

そこの子どもたちの中で人気があったのが『レ・ミゼラブル』でした。僕もハマって、一人で頭からお尻まで演じたりしてました。あとバルジャンとジャベールの対決を両方歌ったり。『あんず』という舞台に出た時に大人キャストとして出演していた津田英佑さんがレミゼでマリウスをやることになって、観に行ったことを覚えています。キーヨ(今井清隆)さんのバルジャンもそのころ観ています。だからミュージカルが好きというよりレミゼが好きでした。

――そんな子役時代を経て、2008年にはミュージカル『テニスの王子様』に芥川慈郎役で出演されました。

同年代でキラキラした男の子たちに出会ったのが初めてだったんですよ。雄大くん(古川雄大)なんて「こんなきれいな子がいるんだ!」ってめちゃめちゃびっくりしましたし、加藤和樹くん、斎藤工くん、良大(村井良大)や井上正大くんもいて、テニミュってこんなにチャンスのある場なんだ!と思ったことを覚えています。

僕が出演したのは全国大会で、本当に楽しかった。でも先のことは何も考えてなかったです。地元から通っていて、東京に遊びにいく感じでした。雄大くんが夏なのに首にヘアバンドを巻いていて、それがチョーカーみたいでめっちゃオシャレだったんですよ。僕はそれをみんなの前ではやらないで、地元に帰ってやる(笑)。「これ東京で流行ってるやつ」みたいなね。おのぼりさん気分ですよね。

――そこから、2017年に『レ・ミゼラブル』に出演されるまでの間、たくさんの舞台に出演されていますが、どこかで「プロの役者としてやっていくんだ」みたいな気持ちの切り替えがあったりしましたか?

僕は本当にちっちゃいころからやっていた分、何にでも対応できる自分がいて。でもアルゴミュージカルのちょっと下の後輩に西川大貴っていう俳優がいるんですけど、彼がレミゼのアンサンブルになった時に「同年代でレミゼの舞台にキャストとして出るってすごい!」って衝撃を受けたんですよね。僕ももちろんオーディションを受けにいくんですが、まあ受けるのは当然だよね、みたいな感覚。で、もちろんことごとく落とされるんです。歌唱を聴いていただくところまで辿り着けなかったりもしました。

それが2017年にマリウス役で受かった時は、何が違ったんだろう。何か自分の中でギアが一個違っていた感じがありました。

――『レ・ミゼラブル』以降、いろんなグランドミュージカルに出演されるようになりました。特に印象に残っている作品は?

『パレード』の初日のオープニングを歌った時は、人生で一番というくらい緊張しました。「ふるさとの赤い丘」っていう歌を歌ったんですけど、幕開きの歌で、初日は自分がどう歌ったのか記憶が飛ぶくらいの緊張で、あれに比べたら緊張することって世の中に何もないんじゃないかなって思う感情を経験しました。

『屋根の上のバイオリン弾き』で市村さん(市村正親)や鳳蘭さんと共演させていただいた時は、先輩たちしかいないという現場で本当にすごいなと思いました。テヴィエと家族の話が心に刺さって、何より市村さんのバイタリティがすごかった。素晴らしい先輩もいれば、ミュージカル界にはすごい後輩もいて、最近でいうと『のだめカンタービレ』で共演した三浦宏規がすごかった。出ずっぱりで汗だくで、頼もしくて力になりたいと思いました。

――グランドミュージカルに出演される一方で祭シリーズにも何度も出演されていますね。

祭シリーズは魂を削って出ています。それくらいハードワークなんですが、それが役者って、なんていうか自分の出番とか任される楽曲の数とかがやはりすごくモチベーションに関わるんですよ。あるとあるで大変だけど、なければ寂しい。で、大変だって不満を言いながらそれを楽しんでいるのが年末の祭シリーズです。ヒーヒー言う場がある。自分のスキルや気持ちを総動員してぶつける場がある。それはすごくうれしいことです。

――最近は、舞台『鬼滅の刃』や舞台『刀剣乱舞』や舞台『魔法使いの約束』など、2.5次元舞台にも出演されています。以前のインタビューで2.5次元の現場ではもうベテラン扱いされていて、座組での居方が難しいとおっしゃっていましたが。

そうなんですよ。若い子からしたら「グランドミュージカルに出てる人だ」って思われる。祭シリーズや『時をかけ・る 〜LOSER〜』みたいにダメな姿は見せられない。わからないことをわからないと言い合える、できなかったらできないと笑い合える、「長台詞が大変だから歌にしてください」とかね、言えない。

――それは『時をかけ・る 〜LOSER〜2』の話ですか?「何度繰り返しても薩長同盟が結べないんぜよ!?」の木戸孝允の?

そうです。長台詞を3回繰り返すのが大変だからって、良くん(演出/平野良)が歌に変えてくれたんです。『時る』はすごくクリエイティブな作業を現場でやってくださるからできたことなんですが、普通そんなことお願いできません。時るのメンバーだったら笑って受け入れてくれる。岳くん(松田岳)とか後輩だけど「大希くん本当にかわいいですね」っていう感じに見てくれるんですよ。そういうなんか優しい現場だとリラックスしていられるんです。

――そういう諸々の経験を経ての『TRIANGLE』。歌もなく、濃密な心理サスペンスのストレートプレイで、3人芝居ということですが、今の時点でどんなお気持ちでいますか?

3人芝居は2017年にほさかさん(ほさかよう)の空想組曲『どうか闇を、きみに』で経験しています。山下さん(山下容莉枝)とりょんくん(三浦涼介)と3人だったんですが、その時の役は僕は受け手だったんですよ。でも今回は自分が掌握して舞台を回していかないといけない立場。しかも3人で会話劇というのは初めてなので、どんな感じになるのか今から楽しみです。

伊藤さん(脚本・演出/伊藤裕一)は本当になんでもできるし、面白いし、お芝居もとても上手な俳優さん。演出家としては、演劇環境を整えてくれるすごく役者ファーストな感じです。だからサスペンスで追い詰められていく作品ですけど、役者には伸び伸びとしてほしいって思ってくださってるんだろうなって思うので、稽古自体は楽しくできるんだろうなと思っています。

――共演する前島亜美さん、陣慶昭さんについて教えてください。

前島さんとは共演は初めてですが、実は声優のレッスンを受けた時にご一緒したことがあります。先生のディレクションが、前島さんに対するものとほかの生徒とで全然レベルが違うんですよ。前島さんはすでに第一線で活躍されている方で、別格でした。声優のお仕事ってミュージカルと違って、ベテランの先輩方が若い役をできちゃうじゃないですか。だから役を獲得していくのは本当に大変だと思うし、そういう世界で活躍されているのはすごいなあと思っています。

陣くんは「まほステ」で一緒だったんですけど、本当にかわいかったです。姿形もきれいなんですけど、心がかわいい。彼もちっちゃいころからこの仕事をしているから、すれてるところもあるのかなと思っていたんですが、全然そんなことなくて、かわいい弟みたいでした。ずっと視界にいるんですよ。かまってかまってって感じがめちゃかわいくて、カンパニーみんなの弟でした。

僕がお二人から学ばせてもらうことはたくさんあると思うので、盗めるものを盗みつつ、負けないように頑張りたいです。

――ストレートプレイに出演を決めたのは、歌以外の武器を持ちたいというお気持ちもあったのでしょうか。

元々やりたい気持ちはあったし、出演したこともあります。新国(新国立劇場)で亜門さん(宮本亜門)の『サロメ』に出演したときに池下重大さんと谷田歩さんが小川絵梨子さん(演出家・翻訳家)の話をしてたんですよ。それを聞いて「小川絵梨子さんって人、すごいんだ」と知って「この人たちカッコいい」って思ったことがすごく印象に残っています。

ミュージカルでもお芝居ができないとダメだなって思うんですよね。いくら歌がうまくても芝居と乖離していたらダメで、切っても切れないものなんだと思います。芝居は俳優として脚本を具現化するにはやらなきゃいけない作業、やって然るべきことなので。だからこそ演技力を求めてもがいていた時期もあります。芝居で足りない部分があっても自分は歌で補えるって思っている部分があるんですよ。でもそういう甘えが封印された場所でどこまでできるのか勝負したいなと思っています。

――プライベートについても聞いていいですか。同世代の役者仲間でよく遊びにいく人は?

良大(村井良大)とはよくご飯行ったりしますね。ほかにも、舞台で知り合った役者同士でご飯に行ってたわいもない話をしています。2017年のレミゼ同期のあいばっち(相葉裕樹)は今でも仲良しですし、最近は映像の仕事が多いけど味方(味方良介)とか、上口耕平くんとかも仲がいいです。僕ら、会えばずっとキャッキャとおしゃべりして、気がつけばもうこんな時間?ってなるんですよ。

――仕事も充実して、目標があって、仲間たちとの交流もあって、素敵ですね。

本当にありがたいです。

――最後にこの先の目標を教えてください。

この先どうなっていきたいかというと、やれるものならなんでもやりたいです。今、グランドミュージカルが若返ってる気がするんですよ。今までベテランの方がやっていた役が、僕ら世代の役者にも挑戦できるようになったんじゃないかな。それならやっぱり挑戦しない手はないですし、アニメが好きなので2.5次元舞台にも出演したいですし、これからもずっと挑戦していきたいと思っています!

『TRIANGLE』は2026年2月20日(金)から、東京・新宿村LIVEにて上演される。詳細は下記公式サイトにてご確認を。
https://le-himawari.co.jp/galleries/view/00132/00754

 

 

 

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