[撮影・文/臼井祥子 ヘアメイク:堀川知佳(小関)、車谷結(太田)、武井優子(安西) スタイリング:吉本知嗣(小関)、小島竜太(太田)、中村剛(ハレテル)(安西) 衣裳協力:Kiryu Kiryu(安西)]
「人が亡くなって残される側のさまざまな心情を描いています」
――鴻上尚史さんの稽古場はいかがですか?
安西 僕は2回目なんですが、和気あいあいとして、やるときはやって、休むときは休んでという感じです。
小関 僕は初めてです。鴻上さんは基本は割と自由にやらせてくださいます。今回は演出だけじゃなく脚本も書かれていて、全てが鴻上さんから生まれているので、見えているものがしっかりとあり、指示がすごく的確ですね。あと稽古の最初にボール遊びをやるんですよ。こういうことをする稽古場なんだって。驚きました!
安西 ボールで円陣パスをするんです。アップを兼ねてみんなでコミュニケーションを取り合う。
太田 僕も鴻上さんの作品に出演させていただくのは2回目なんですが、前の作品の時はやってなかったから作品によるんじゃないかな。あの時は人数が多かったから、ボール遊びできなかったんだと思います。
――では今回のほうが、余裕がある稽古場なんですね。
太田 ボール遊びをする人数的には、余裕がありますが、僕個人的には全然余裕ないです!
小関 濃度も濃いけど進行が早いよね。今まで僕が携わった作品だとそろそろ2幕の稽古を始めるくらいの時期なんですが、もう最後のシーンまで終わりそう。そのスピードについていくのが大変です。
――安西さんは、稽古の手応えは?
安西 手応えはまだ掴めていないですが、それを掴むための、作品や役の輪郭がようやく掴めてきたところ。今何が行われていて、何をしなければいけないかということがわかってきた。だから手応えを掴むための種は持っている状態です。
太田 僕も同じ感じ。今は鴻上さんから出てくるワードを拾い集めてる。シーン稽古をやる中で、鴻上さんが何を見せたいのかをちょっとずつピックアップして、それを知る作業をしながら自分とリンクさせて擦り合わせてる。
――作品についてはどう思っていますか?
安西 臼田(あさ美)さんが演じる小都がいて、裕太くん(小関)が演じる宮瀬がいて、子どもたちがいて、もっくん(太田)が演じる相馬がいて…。宮瀬は自死してしまっていて、小都や相馬は残されたじゃないですか。僕は、宮瀬は死ななくても良かったんじゃないかな、という印象を抱いています。
小関 人が亡くなって残される側の思いは、人それぞれだと思うんです。自分を責めたりとか、その気持ちをなかなか解消できなかったり。そういうさまざまな心情を描いています。家族が亡くなって残されて、どうやって未来に向かっていくのか。生きることと向き合うストーリー。いろんな軸がある中で、そこが一番重要な軸なんじゃないかなと思っています。自分に都合のいい解釈をして思い出を美化したりもするし、亡くなった方がこんなことを思っていたんじゃないかと考える描写もリアルに描かれている。その状況をどうやって受け止めて、未来に向かっていくのか。僕は、ポジティブな物語だと思っています。
太田 人間は追い詰められるとやっぱり答えを探したくなるし、何かに執着してしまう。そこに落ち度があったとしても、それをもう少し客観的に複眼的に見ることによって、いろんな選択肢が見えてくる。この本で言えば「逃げる」という選択肢もあるよと。自分が自分らしくいられる場所を大切にしながら、どういう選択肢を選ぶか、どういう人生を歩んでいくかというのを、改めてお客さんに、そして演じる自分たちに問いかけるような問題提起がされている作品です。村の差別の話、何かを分断するとどういうことが起きていくのか、いろんなテーマが散りばめられています。それを説教くさく押し付けるのではなく、コメディ要素もあるキャッチーな展開になっています。
安西 今、カンパニー一丸となって作っているので、ぜひ観に来ていただきたいです。鴻上さんの作品は、もっくんが言うように喜劇的な要素があることもあって、お客さんの感情の動線がすごく入りやすいと思うんですよ。だから気軽に足を運んでいただけたらうれしいです。
太田 ストレートプレイって重いのかなと思われがちですけど、ちゃんと希望が見出せる作品です。観に来てくださった方があらためて自分に向き合えるような物語になっていると思うし、俳優としてもあらためて向き合ういい機会だなと思います。
小関 人生における苦しいことから楽しいこと、仲間意識と個人、いろんなものが詰め込まれています。『サヨナラソング』では『鶴女房』の続きの物語世界と、それを執筆している現実世界の二つの世界を演じるんですけど、その二つに対比があったり、リンクする部分があったりします。物語の中から得る考え方も現実世界から得る考え方もあります。たくさん笑っていただきながら自分に照らし合わせて考えるきっかけになる作品なんじゃないかなと思います。あと、僕にとっては30歳になって最初の舞台なので、そういう思い入れもあります!
1
2