「今までで一番泣いたミュージカルです!」
――初演はご覧になりましたか?
はい! めちゃくちゃ感動しました。前作のキャストさんは、小関裕太さんや唯月ふうかさん、アンサンブルのみなさんにも知り合いがたくさんいて、全員に「今までで一番泣いたミュージカルです!」って感想を伝えています。本当に冗談抜きでグシャグシャになるくらい大泣きして、マネージャーさんに「いつか公生をやりたい」って言って。だからこの役を頂いた時は本当にうれしかったです。
僕が使っている音楽アプリには今まで聴いた曲のランキングが表示されるんですけど、上位に『四月は君の嘘』の曲が入るくらい聴き倒しています。この間レコーディングがあったんですけど、あんなに聴いた曲を今自分が歌っているんだと、感慨深かったです。特に楽しみにしているのは文化祭のシーン。僕、高校の文化祭が大好きだったんですよ。初演の文化祭のシーンがとても楽しそうで、観ていたら「あの時に戻りたい!」みたいな気持ちになって、泣きました。今回もあのシーンがあると思うので、楽しみです。
――岡宮さんが演じる有馬公生は、どんな人だと思いますか?
公生はめちゃめちゃ辛いですよね。お母さんを喜ばせたくて、お母さんの夢だった世界的なピアニストを目指した。でも少しでもミスしちゃうと厳しく叱られて、この言い方が合ってるかわからないけど、親からの愛を正しく受け取れなかったのかなと思います。ひどいことを言ってしまって、それが最期の言葉になってしまって、お母さんとの一番のつながりだったピアノの音が聞こえなくなった。でも逆に、多感な時期にそんな経験をしたのに、よくこんなにまっすぐ育っているなあと思うんですよ。本当にいい子なので。だから公生のそばに、かをちゃん(かをり)や椿や渡がいてくれてよかったなと思います。
――岡宮さんご自身はどうですか? 例えばプレッシャーに潰されそうになったことは?
それはもちろんありますよ。めちゃめちゃあります! この作品みたいに初演が素晴らしい舞台の再演に出演するとなるとお客様の期待値も高いですし、自分自身にみなさんの期待を超えていかなければと課しているので、余計プレッシャーを感じます。
――そういう時の乗り越え方は?
ひたすら練習することでしょうか。「これだけやってきたから俺は大丈夫」と思えるようになるまで。あとは、共演者やスタッフさんたちの優しさに助けられながら乗り越えています。
――実は、岡宮さんの取材を久しぶりにさせていただいているのですが、前回が『オモシィプレス』というタブロイド紙の取材で。
あれは僕の初めての表紙でした! あの時に「いつか帝劇に立ちたい」とお話をしたのを、覚えています。
――そうなんです。その後『王家の紋章』で帝劇に立たれた時には有言実行ですごいなあと思いました。
帝劇に立つことは夢の一つだったので、叶えるために、自分を信じて努力してきてよかったなあという思いはあります。でもまだ通過点です。
――ミュージカル『刀剣乱舞』に初めて出演された時から、歌が素晴らしいなと思っていましたが、もともと歌うことは好きでしたか?
はい。カラオケがめっちゃ好きだったし、小中学生の頃に朝のホームルームで歌う時間があって、それもめっちゃ好きでした。でもそれは好きで歌ってきたというだけで、プロとして歌うとなるとそれだけでは歌えない。プロのプライドを持って舞台に立ちたいと思うなら、絶対に必要だと思って、以前取材していただいた頃は、良い先生がいないかなと歌の先生を探していました。
――いい出会いはありましたか?
すぐには見つからなくて、『王家の紋章』でご一緒した海宝(直人)さんにどんなレッスンをされているかお話をうかがって……でも、そのときは勇気がなくて先生がどなたかまでは聞けなかったんですよ。それでまた別でご一緒した時に、海宝さんのマネージャーさんに「こういうことを聞いても大丈夫でしょうか」と確認してから、あらためて海宝さんに歌の先生を教えていただきました。
その先生に習いはじめて2年になります。それまで自分の耳で聴いてこれがいいと思っていた歌い方を、先生は一発で「ちょっと喉に負担がかかりすぎてるよ」と、具体的にどうしたらいいのかを明確な言葉で説明してくださいました。声帯はいろんな使い方ができるんだと教えていただいて、そのおかげで昔よりうまくなっている実感があります。まだ全然進化の途中なんですけど。
――この先、どうなって行きたいですか?
できないことをなくしたい、というのが目標の一つです。そのために、できることを一つずつ増やして行きたい。今はジャズダンスのレッスンを定期的に受けています。そうやって自分を成長させつつ、僕がたくさんの先輩方に助けていただいたように、後輩たちにとって心強い先輩になりたいです。
具体的な目標としては、『キンキーブーツ』のローラと、『モーツァルト!』のヴォルフガングはいつか絶対やりたいです。それからオリジナルでも海外の作品でもどちらでもいいので、日本初演のミュージカルを任せていただきたい。声のお仕事もやりたいし、映像もやりたい。でもやっぱりミュージカルが楽しいです。生でしか得られないエネルギーってすごいものがあるんですよ。今は配信など劇場外で観られる機会も増えましたが、だからこそ来ていただいたときに本当にすごかったと思ってもらえるような実力のある俳優になりたいです。
――プライベートな夢も教えてください。
今年は適度に遊ぶことかな。去年、ストイックに頑張りすぎちゃったのでワークライフバランスを整えたい。余暇の目標としては、ディズニーランドとディズニーシーでやる季節ごとのイベントに全部行きたいです。俳優仲間にも僕のディズニー好きが知られてきて、連れてってと頼まれることも増えたんですよ。ミュージカル界のディズニー好きナンバーワンを目指して頑張ります!
ミュージカル『四月は君の嘘』
東京公演 2025/8/23(土)~2025/9/5(金) 昭和女子大学瞳記念講堂
愛知公演 2025/9/12(金)~14(日) Niterra日本特殊陶業市民会館フォレストホール
大阪公演 2025/9/19(金)~20(土) 梅田芸術劇場メインホール
富山公演 2025/10/4(土)~5(日) オーバード・ホール 大ホール
神奈川公演 2025/10/12(日)~13(月祝) 厚木市文化会館 大ホール
原作:新川直司(講談社「月刊少年マガジン」)
脚本:坂口理子
作詞・作曲:フランク・ワイルドホーン
作詞:トレイシー・ミラー/カーリー・ロビン・グリーン
編曲:ジェイソン・ハウランド
訳詞・演出:上田一豪
出演:岡宮来夢/東島 京(Wキャスト)
加藤梨里香/宮本佳林(Wキャスト)
希水しお/山本咲希(Wキャスト)
吉原雅斗/島 太星(Wキャスト)
ほか
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