総合エンタメ・マガジン[エンタプレス]

――皆さんは今回が初共演とのことで、お互いのイメージはいかがでしょうか?

工藤 僕は勝吾さんとお会いするのは今日で2回目で(取材は10月)まだちょっとしか話していないんですけど、今お話を聞いていて、嘘のない方だなと思いました。「嘘がない」「この人を信じられる」って、僕の中ですごく大事なことなんです。僕がこの世界に10代で入ったばかりの頃って、自分が嘘だらけだったんです。よく見られたいと思ってしまって。今でも、この人は何を考えているのかわからないと感じると、心の中でブレーキがかかってしまう。でも今、ぽんぽんと本音で話してくださっているのを聞いて、僕も本音で向き合いたいって思いました。
DIONくんは、今のところ控えめな雰囲気でいますけど、たぶんすごくメラメラした人なんだろうなと感じています。さっき「よっしゃ!って言いました」みたいに爽やかに伝えていましたが、底の底はもっともっともっと燃えたぎるものを持っているだろうなって。そんなお二人の間に挟まれて、すごく心地よく過ごせそうな気がしています。

鈴木 僕は二人より年上だけど、二人を見てると本当にいっぱいスキルがある人たちなんだろうなあと思って、僕はそういうタイプじゃないから、戦々恐々としている部分があるんですよ。でも僕、わからないことは3秒で正座して「教えてください」って質問する人間だから、いっぱい頼っていこうと思います。逆に米粒一つでも自分に渡せるものがあったら、どんどん渡していきたいです。

――鈴木さんを初めて取材したのは、『侍戦隊シンケンジャー』(2009年)の頃なんですが、キラキライケメン俳優だったのが、気がついたらすごい俳優さんになっていて、歌も芝居も素晴らしくて、ずっと拝見してたのにいつの間に?という気持ちなんですが。

鈴木 それはどうなんでしょうね。歌えると言っても、音大出た人に比べれば僕なんて全然歌えないだろうし。殺陣をしながら歌うということに関しては、たぶん演劇界で3本の指には入るんじゃないかなとは思います。それはミュージカル『薄桜鬼』が育ててくれたことで、誰にも真似できない自信がある。でも違うところを比べれば僕なんてまだまだと思うことばかりなので、たぶん僕の「できるところ」を見てくれているだけですよ。

――なるほど。

鈴木 ミュージカル『憂国のモリアーティ』で平野良くんに初めてお会いした時も、「こんな人だとは思ってなかった」というふうに褒めてくださったことがあるんですけど。でも本当に僕は別にできるわけじゃないんですよ。細々と地味な作業をやっているだけ。最初の頃に比べれば、芝居はできるようになったと思いますが、それも積み重ねなので。ただ自分にいい点があったとしたら、「考える人」だったことだなと思います。「なんでだろう? どうしたらいいんだろう?」っていうのをずっと考えてましたから。
(工藤とDIONに)だって初舞台の時って、袖から出るって言われてもどうやって出ていけばいいのかわかんなくなかった? いや、二人は天才肌だからそんなことないか。

工藤 僕は逆に、言われたことをやってる意識しかなかったので、何も考えられなかったです。

鈴木 「袖から出て」って言われて「え? 右足と左足、どっちから出ればいいの?」、「動いてみて」って言われて「いや、動いてみてって言われても」みたいな感じだったんだよね。舞台のセンターで客席に視線を向ける時も「どこを見んの?」とか、自分がはける時の動きを「去り際のこれってなんなの?」って聞かれても答えられない。
それが今となっては、いろんな出方があるってわかるし、自分の動きについてちゃんと言語化できるようになりました。一個一個考えながら積み重ねていったら、考えるフェーズをすっ飛ばしてできるようになったんですよね。
だから、やり続けた結果、「パッとできるよね」みたいに見えているだけなんです。褒められたことを、分析しすぎるのもアレなんですが(笑)、後続のために、ごく一部の天才以外の後輩のために、言っておきます。

――鈴木さんの初舞台の頃のお話が出たので、DIONさんにうかがいたいのですが、American Musical and Drama Academyに行かれてますよね? 日本では、特に2.5次元舞台(DIONの初舞台はミュージカル『新テニスの王子様』)では珍しいことだと思うのですが。

DION もともとミュージカルが好きで、中学生くらいの頃からミュージカルに関わりたいと思っていたんです。裏方をやりたい気持ちもあったけど、高校生ぐらいで歌が好きになって、俳優の仕事にパッションが向いて、頑張ってみようと思って。それで大学にも行きたかったし、英語が話せたので、ミュージカルの本場で学校に通えば何か得られるものがあるんじゃないか、行きたい方向に行けるんじゃないかと思って、入学しました。

鈴木 それ、すごくない?

工藤 すごいよ。自分なら考えられないですもん。大学から海外に行こうなんて。

鈴木 そもそもなんで英語話せたの?

DION 父がアメリカ人なので。

鈴木 ああ、そういうことか。なるほどね。生まれた環境がギフトだったんだね。でも本当にそうなんですよね。日本の俳優は勉強してない人が多いから。入り口で勉強して入ってきてる人は稀有だと思います。(DIONに)ごめん。袖の出方がわからなかったとか言って。

DION そんなことないです。僕も、実際に袖から出るのは新テニミュが初めてだったので、学んできても現場でやることは違うし、日本と海外とでは求められることも違うし、だからフレッシュな気持ちで、新人として舞台に立とう、全部吸収してやろうと思って、初舞台に臨んでいました。

鈴木 そう思えることが一番の才能です。いや、すごいな。

DION ありがとうございます。

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