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Stage INTERVIEW

劇団☆新感線『バサラオ』に挑む、いのうえひでのり×生田斗真×中村倫也×古田新太

博多座公演(7月7日~8月2日)を皮切りに、明治座公演(8月12日~9月26日)、フェスティバルホールでの大阪公演(10月5日~17日)まで、劇団☆新感線史上最多の97公演を駆け抜ける、いのうえ歌舞伎『バサラオ』。劇団主宰・演出のいのうえひでのりさん、主演の生田斗真さん、中村倫也さん、古田新太さんが大阪でそろって意気込みを語りました。
(取材・文/小野寺亜紀、撮影/ハヤシマコ)

劇団☆新感線44周年興行は、生田斗真生誕39年記念のサンキュー公演

いのうえ歌舞伎『バサラオ』は、劇団☆新感線44周年興行であり、生田斗真さんの生誕39年を記念してのサンキュー公演と銘打った最新作。幕府と帝が争う時代、生田さん演じるヒュウガが、自分自身の美しさを武器に天下取りを目論むダークスペクタクル作品だ。

生田斗真(以下、生田):2020年の『偽義経冥界歌』博多座公演がコロナの影響で全公演中止になり、「斗真が39歳の頃、いつか必ずリベンジしよう」と約束してくださったことが、今回の企画のそもそもの始まりです。17歳のときに初めて劇団☆新感線の舞台に出演し、「こんなに人生を楽しんでいる大人に自分もなりたい」と憧れ続けてきた皆さんと、40歳になるタイミングで一緒に過ごせるのがとても嬉しいです。

いのうえひでのり(以下、いのうえ):博多座でのリベンジであり、ほかにもエンターテインメント寄りの小屋(劇場)が決まり、「じゃあ、楽しいものを」と最初は話が進みました。マニアの間では傑作、幻の作品と言われている、2000年の『古田新太之丞・東海道五十三次地獄旅 ~踊れ!いんど屋敷』のようなノリの、歌や踊りが入るハチャメチャなものをやりたいよね、と言ってたんですが、(劇作家の)中島かずきくんが、年齢的にも最近の作家性からも、そういうドタバタなものを書きづらくなっていて(苦笑)。そこで元々彼がアイデアとして持っていた物語になりました。ちょうど斗真が大河ドラマ(『鎌倉殿の13人』)で演じた源仲章も、すごく悪い役だったけど、目が離せない面白さがあり、充分ピカレスクロマンでいけるなと。ダークな筋書きでも、歌や踊りなど新感線のスペクタクルな派手さを組み込み、観終わった後はスカッとする、爽快感のある芝居になりそうです。

ヒュウガの参謀としてバディを組む謎の男・カイリ役は中村倫也さん。生田さんと中村さんは、2016年の劇団☆新感線公演『Vamp Bamboo Burn~ヴァン!バン!バーン!~』でも共演し、お互い信頼し合っている様子。

生田:2016年の当時は、「斗真くん、俺どうやったら売れるかな?」とずっと言ってて(笑)。それからほどなくして、世間に中村倫也の才能が知れ渡り、名前がとどろいた。それから初めて一緒にやるので、主役としていろんな方面で闘ってきた彼の血肉、太くなった骨とぶつかり合えるのが楽しみです。
中村倫也(以下、中村):いや~、売れましたね!
生田:(笑)。
中村:今回、気づいたら主役よりも僕の方が出番多くて! やりがいのある役をいただきました。ヒュウガはその美しい魅力で天下統一を目指すけど、斗真くんはその酔う芝居がまだ恥ずかしいという、シャイなところがあるようです。僕はそんな斗真くんに、「自分にもっと酔え!」とけしかけ、「大丈夫だ、あんたは美しい」と耳元でささやこうと思っています(笑)。

ヒュウガやカイリと対峙するゴノミカド役は、劇団の看板俳優・古田新太さん。生田さん、中村さんは、劇団☆新感線の舞台では、初めて古田さんと共演する。稽古場ですでに大きな刺激を受けているようだ。

生田:やっぱり古田さんのいる劇団公演は違う。古田さんが稽古場にいるだけで、ワントーン明るくなります。本読みの段階で、古田さんの台詞にゲラゲラ笑えて、「この人の魅力はなんなんだろうな~」と思いました。
中村:そうだね、楽しい! そしてやっぱり板の上に立ったときの古田さんがすごく楽しみです。「なんなんだろう、この人!」っていうことがたくさん起こると思うので。以前『ロッキー・ホラー・ショー』で共演し、地方を回ったとき、急にご当地ネタを入れてこられて。そういう外さない“遊びゾーン”がきっと生まれると思います。
古田新太(以下、古田):斗真と倫也とやっと一緒にやれるということで楽しみだし、ありがてぇなと思っています。今、日本で最も信頼できる二枚目の二人ですね。今回、軽い物語かと思ったら、ピカレスクロマンだなんて、全然オイラには興味のない話。まあ、歌や踊り、アクションもいっぱいあって、いのうえさんのことだから、愉快なシーンをいっぱい作ると思うんだよ。僕はそこに2、3個下ネタをぶち込んでいきたいと思ってます。

17歳の高校生のとき、『スサノオ~神の剣の物語』(2002年)で劇団☆新感線に初出演した生田さんのことを、いのうえさんは「バカ王子みたいな役だったけど、最初から正解のトーンで演じていて、勘がいいなと思った」という。

いのうえ:斗真はやっぱり俳優として太くなった感があり、二枚目俳優ということではなく、いろんな役柄ができる。つまり脇に回っても要求されたことがきちんとできる、信頼できる俳優の一人になったと思う。今稽古場では、斗真も倫也も俺がやろうと思う方向性、どう動いたら喜ぶかというのが分かっていて、すごい楽ですね。

生田:新感線では最長の公演数、97公演という前人未到の域に達しますが、お客様にとっては97公演のうちの1回が大切なんだ、ということは心に刻んで舞台に立つつもりです。
中村:僕にとっても、たぶん古田さんとの『ロッキー・ホラー・ショー』が最長公演数で、それを更新します。この規模だと普通はダブルキャストとかになるんだけど、それをさせないのが新感線らしいというか(笑)。
いのうえ:(笑)。
中村:身体のケアや食べる物に気をつけ、家に帰ったらアリエールで洗濯して、さっぱりとした気持ちで次の日も劇場へ行けたらと思います。
生田:(CM出演中の「アリエール」言及に)ありがとうございます(笑)。
古田:97公演って途方もない長さだけど、オイラもこの仕事を40年やってるんで、なんとかなるでしょう。倫也が大丈夫だったら大丈夫です。
中村:試金石になりたくない(苦笑)。
生田:動員数もすごいですよね。15万人! 「ドームでやったら3回分だね。それを97回やらないといけないね」という話はしました(笑)。

公演の最終地は劇団☆新感線発祥の大阪。季節は夏から秋へと移り変わるほどの長丁場だが、やはりフェスティバルホールでの公演は盛り上がりそう。

生田:10月に大阪・フェスティバルホールにお邪魔させていただきます。大阪のお客様はいつも温かく迎え入れてくださるので、大いに楽しみにしています。
中村:フェスティバルホールは『Vamp Bamboo Burn――』以来で、斗真くんとまた一緒に来れることにすごく縁を感じます。新感線は公演を重ねるごとにいのうえさんのアイデアがまた増えていくので、その完成形と言いますか、足し算引き算した末のものを楽しみに待っていてもらえたらと思います。
古田:博多、東京があっての大阪なので、5分ぐらい短くして、ショートな『バサラオ』をお楽しみください!
いのうえ:フェスティバルホールは博多座や明治座とはまた違う、コンサートホールという面もあり、より祝祭性の高いステージになると思うので盛り上げたいですね。

2024年劇団☆新感線44周年興行・夏秋公演
いのうえ歌舞伎『バサラオ』

作:中島かずき
演出:いのうえひでのり

出演:生田斗真 中村倫也/西野七瀬 粟根まこと/りょう/古田新太
右近健一 河野まさと 逆木圭一郎 村木よし子 インディ高橋
山本カナコ 礒野慎吾 吉田メタル 中谷さとみ
村木仁 川原正嗣 武田浩二 ほか

福岡公演/2024年7月7日(日)~8月2日(金) 博多座
東京公演/2024年8月12日(月・休)~9月26日(木) 明治座
大阪公演/2024年10月5日(土)~10月17日(木) フェスティバルホール

公式HP:http://www.vi-shinkansen.co.jp/basarao/

 

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